2019/05/16 のログ
ご案内:「セレネルの海 幽霊船」にタマモさんが現れました。
タマモ > ここはセレネルの海、そのどこか。
そこに浮かぶ幽霊船の上空、ゆらり、と景色の一部が揺れたかと思えば、一人の少女が現れた。
しかし、現れたのは上空だ、少女はそのまま、下方にある幽霊船へと落下し始める。

…のだが、ぽんっ、と手元に唐傘を出せば、ばさりと広げる。
途端に落下は緩やかになり、ふわふわと…そして、すとん、と幽霊船へと着地をした。

「うむ、話しに聞いた通りじゃのぅ。
いやはや、無かったらどうしようかと思ったものじゃ」

うんうんと、自分の言葉に頷きながら、視線を海へと向ける。

「やはり、海での釣りと言えば、船釣りじゃろう。
そこらの船だと金が掛かるが、この船ならば、金も掛からん。
ふふんっ、さすがは妾じゃな!」

無意味に胸を張りながら、そんな事をのたまう。
そう、少女にとって、噂だの騒ぎだの、そんな事はどうでもいいのだ。

タマモ > 「馬鹿鴉から、ある程度の事を聞いておいて良かったのじゃ。
何も知らずに来ておったら、二度手間三度手間になるところじゃった」

何やら思い出すように、こう、遠くを見詰めて。
気を取り直し、唐傘を消し、続いて今度は釣竿を出した。
今日の釣竿は、いつも使っているのとは違う。
式の一人に頼み、切れる事の無い丈夫な糸を取り付けたもの。
しかも、妖力の加減によって伸縮自在の便利なやつだ。
ちなみに、普段通りの釣竿だと、明らかに糸の長さが足りない。
こちらは己の髪の毛を結わいだもので、長さに限界がある。

さっそくと、釣針に餌を取り付け、ぺいっ、と投げる。
そうしながら、側にいつものタライを出しておき。
………はた、と動きが止まった。

糸は垂らしたままで、釣竿を固定し、タライを手に。
船縁へと身を乗り出し、下を見る。

「釣竿までは気が回ったが…釣れた後、どうするのじゃ、これは…」

そう、川辺で釣っている時は、川の水をタライに満たす。
そうする事に、何ら難しい事はない。
しかし、ここは船の上、しかも無駄に大きい。
タライに海水を満たそうとするも、どう考えても…

ひょい、ひょい、と手にしたタライを揺らし、海水を入れようとする動作。
うん、どう見たって届いてないし、届く訳がない。

人気の無い船縁に、静寂が訪れた。

タマモ > 「よし、今日の気分は、きゃっちあんどりりーすじゃ…!」

こっそりと、別で持ってきていた調理道具は仕舞いつつ、こう。
釣って食べる気満々だったのは、この際秘密だ。

と言う訳で、タライも消し、気を取り直して釣り再開。
月明かりだけが照らす中、静かに、釣りに集中を。

まぁ、そうしないと、どこかに八つ当たりをしそうだし。
この時間帯、微風もあって心地良い。
調子が良かったりすれば、気分も晴れる事だろう。
………調子が良ければ。

タマモ > 少女は、そうそう諦める事はない。
釣り糸を垂らしたからには、反応の一つくらいは、そんな感じだ。

その時は、いつ訪れるのか?
今すぐか、少し後か、かなり後か、それとも…
夜は始まったばかりだ、まだ、先は長い…多分。

ご案内:「セレネルの海 幽霊船」からタマモさんが去りました。