2019/03/16 のログ
■グレヌアンギュ > 透明な皮膚と肉を持つ海蛇達が狭い潮溜りと言う空間の中でエサを求め、卵を産みつける肉を求め、互いに絡み合い締め付けあい、その度に表皮から粘液は滲み出し、擦れあう熱で海水は生ぬるく高まり、砂底より生える月の光に輝く水中花が風も無いのに水の中でゆらりゆらりと揺れて踊る。
丁度グレヌアンギュ、その透明なる肉と皮膚を持った海蛇達の産卵期・繁殖期、なのだろう彼らも必死で狭い世界を泳ぎで暴れて蠢いて、苗床になりそうな肉を捜してひらすら足掻く……それは時に音として夜空から降り注ぐ光を粘り気ある海水で弾いて妖しくも水晶細工の如く美しい何かがいると示していた。
潮騒に混じる音、それが全て掻き消える頃には潮溜りは流れてきた波により覆われ、流され、元のただの海水へと戻る、そこに透明な海蛇達の姿は勿論ない。
ご案内:「セレネルの海 潮だまり」からグレヌアンギュさんが去りました。