2019/03/15 のログ
ご案内:「セレネルの海 潮だまり」にグレヌアンギュさんが現れました。
■グレヌアンギュ > セレネルの海
押しては引く潮騒の音、注ぎ降る星の輝き、それらを包み込む冷たくも温かくもある月明かり、今宵は其処にニチャとかヌチャとか凡そ相応しくない粘り気のある重たい水音が混じる。
音の元を探せばそれは白い砂浜のあちらこちらに点在する大小様々な大きさの潮溜りより聞えてくるだろう。
特に大きく音が聞えるのは音の大きさと比例して大きな潮溜り、ごつごつとした岩にぐるりと囲まれた天然のプールと呼ぶべきか、取り残された小さな海というべきか、人が1人泳げそうなほどの大きな潮溜りであった。
深さにして中央に行けば行くほどに深く、一番深い場所で人のへそ辺りの深さになるか、浅くても人の膝位の水深だろう潮溜り、其処より粘り気あって重たい音は聞えるのに覗いてもきっと何も見えない、夜目が効くのも効果なし、ただ熱量を見る能力があればその潮溜りには無数の何かが蠢いて見える、それも狡猾にも潮溜りの底にある白い砂に潜り、混ざり、それらが絡み合ってあの音を奏でてる。
その音を大きくしているのはそんな異形が皮膚から滲み出した粘液が溶けた海水の粘り気、海水と違う生温かさ、ともかくそんな不気味で怪しげな潮溜りが潮溜りの主が透明な皮膚を持つ水蛇に似た生物の巣窟になっていた。
星の輝きを粘りある海水が異様にキラキラと輝き反射して、怪しくはある、あるのだがもし冒険者か学者がその場に居たとしたら、その潮溜りには値千金の希少な生物が巣食っている事がわかる。
――それを知って狩る者か、知らずに足を踏みいれてしまうか、その潮溜りの底に咲く月の光を浴びて育つ希少な水中花をもとめたか、理由は様々であろうが、哀れにも餌食となるか、どうなるかは夜空に浮かぶつきだけが知ろう。