2018/12/21 のログ
ご案内:「セレネルの海/砂浜」にギィギさんが現れました。
ギィギ > 夜を照らす月明かりに照らされて輝いてさえも見える白い砂浜、闇色の海でさえも今宵は砂浜の砂と同様に煌めいて、幻想的な光景が広がっている。

セレネルの海、今夜の海岸は何処か妙に艶めかしく、ありえないくらいにヌラリときらりと光を浴びて輝くのは普通の事ではなく、ちゃんと原因があった。

その原因は通常無名遺跡の浅い階層で暮らすスライムの亜種。

それが何を思ったのか遺跡より這いずり出て、水分とは言え海水と言う塩分を含んだものが溢れる場所に蠢いているのだ。

一見して幻想的な光景はそれが薄らと大きく広がり、白い砂浜の砂の下で獲物が上を歩くのを待っている証左であり、砂浜に被る海水が良く煌めくのはスライムの亜種が滲み出した粘液が海水に交わり、波で撹拌されて粟立ち、それが良くつきの光を弾くせいだ。

ぐにゅ、ぐにゅ、ぐにゅ、ぐにゅ

闇色の海が波で揺れるように、白い砂浜も不自然に波打つ。

その度に白い砂は輝きを増し、潮騒に紛れて粘り気のある物が蠢く音さえも響き、犠牲者の到来を待ちわびる。

その柔肌より海水ではない水を得るため。
その胎を利用して種を増やすため。

本能が赴くままに嬲るため……。

ギィギ > 巣食い続けるには海水が多いセレネルの海の砂浜は適していないが、短期間であれば此処より都合のいい場所はそうないだろう、例えば……潜伏する事、白い砂の下に潜り込めば存在は見え辛くなるだろうし、多少身体を踏まれても海水でぬかるんでいると錯覚してくれる筈である。

それに加え砂と言う足を取られ易いシチュエーション、それとこの時期のセレネルの海の人気の無さ、そして一番の理由は此処に来るのは冒険をする為ではなく、散策をする為に戦闘力の低い存在が訪れる事が多いと言う事である。

勿論スライムの知能はたかが知れており、ギィギもまた亜種と言ってもスライムだから、考え抜いての行動ではないだろう、ただ、ただ幸運にもそんな場所に辿り着き、本能が赴くままに身体を広げて罠を張っている、それだけなのだがあまりにも都合が良い状況……かもしれない。

潮騒に混じる粘り気のある音は途切れず、薄ら甘い好奇心を刺激し「其処」に誘うような香りも潮の香りに紛れてミレー族などの余程嗅覚に敏感な者でなければ判らない、其処に毒など混ぜたらどうなるだろうか、と訪れる者には幸運か矢張りそんな香りを誤魔化して毒をまく知性はなくて、ただ蠢き、只管獲物が掛かるのを待つだけであった。