2018/11/04 のログ
ご案内:「セレネルの海:浜辺」にフィーリスさんが現れました。
■フィーリス > 「最近冷えて来たけどやっぱり夜の海はきもちーッスね。」
静かな海に写る満月を眺めながらサクサクと足音を響かせて歩く少女。先客は居らず不穏な影も見当たらぬ浜辺での夜歩きを楽しんでいるようだ。
「冒険者なんて因果な商売してると一人で物思いに耽る時間も中々とれないッスからたまにはこうしてゆっくりするのもいいんスよ...。って誰にいってるんスかね私は?」
無論返事を返す物など誰もいないのだがこうして一人自問自答する事は嫌いではない。
しばらく彼女の静かで賑やかな独り歩きは続くだろう。
■フィーリス > 「いや、待つッスよ。こーゆー雰囲気は好きなんスけど最近の喧しい冒険者生活になれてるせいで早くも飽きそうッス。何しに来たんスかねぇ私...。まるでバカみたいじゃないッスか!?」
みたいではなく正真正銘のバカなのだがそう返すものももちろん居らず全ては海の静寂へと飲み込まれていった。
「いーっスよー別に、寂しくなんてねーんスからねー。」
誰に向けているのか分からない言い訳をしながら彼女はそこらの流木やよく分からない漂着物を集め始めた。集めた物を一ヶ所に組んでいく様を見るにどうやら火でも起こすのだろう。
「てっきとーに組んでー。点火ッス!」
組んだ木々やらにダバダバと油を掛けて火打石を打ち鳴らす。
苦労せずに火は点き次第に赤々と燃え始める...のだが。
「うおっ、近すぎたッス!燃えるッス燃えるッス前髪があばばばばば。」
点火する際に髪に油が染みていたのだろう、前髪が火を噴き面食らった彼女はわたわたと砂に顔を埋めた。
「いやー。本格的になにやってんスか私は。」
本日何度目になるかわからぬ溜め息を吐いてようやく大人しくなった彼女は火に当たりながらまた静かに海を眺め始めた。
ご案内:「セレネルの海:浜辺」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 「うおぉぉぉぉおおおっ!?」
セレネルの海の空に、叫びが響く。
空から海に向かって、落下していく男が一人。
ほどなくして、男、水面に着水。ざっぶーん。
「……がはぁ……」
何とか、着水の衝撃、そして冷たい水から逃れるように、浜辺へと泳ぎ、ずるり、と這い上がる男。
寒さにガタガタ震える男だったが、目の前に視線を向ければ、焚き火と少女が一人。
「……し、しつつつつれい、お嬢さん。
そ、その火に、あたらせていただいても……?」
歯をがちがち鳴らしながら少女に声をかける男。
濡れ鼠、ならぬ濡れ中年。傍から見ると哀れな姿だろう。
■フィーリス > 「.......あー。イイ男がこんな夜中に寒中水泳ッスか?止めはしねーッスけど風邪引くッスよ?」
一部始終を見ていたが全く理解の追い付いていない彼女だったが話し掛けられたことを切っ掛けに反応を返した。
「火に当たるだけじゃ不十分ッスよそれ、私ので良かったら使うと良いッス。」
お人好しな訳では無いが目撃した以上放っておくことも出来ないので火の前を薦め自分の荷物からタオルを取り出し差し出すのだった。
■セイン=ディバン > 「ちちちち、ちがわいっ!
いっぶしぃっ!」
そんな訳あるか、と言いつつ焚き火に近寄る男。
相手の厚意に甘え、体を拭き、火に当たらせてもらう。
「あぁ……あったまる……。
いやぁ、ダンジョンでちょっとぼー、っとしてたら、宝箱の罠解除に失敗して……。
で、テレポーターで空から海へとダイブしちゃって、って訳で」
暖かな火の暖かさに表情を緩めながら、勝手に語り始める男。
そこで男は、少女に向き直り。
「改めて、冒険者のセイン=ディバンだ。いや、助かったよお嬢さん。
お礼がしたいんだけど……いかほど払えばいいかな。
それとも、マジックアイテムとかの方が好みかな?」
にこり、と笑顔を見せ名乗る男。どうやら、本気でお礼をするつもりらしく。
■フィーリス > 「あー、同業の人ッスか。何処の迷宮に潜ってたかは知らねーッスけどえらく辺鄙な所まで飛ばされたもんッスね。」
少し弱くなった火に追加の気を投げ込んで焚き火を維持する。
「ご丁寧にどーもッス、私はフィーリス、故あってこの国で冒険者やってるッスよ。あと礼なんて受け取れねーッスよ、対したことした訳じゃねーんで同業のよしみだとでも思っといてほしいッス。」
下手にレアなマジックアイテム何て貰ったら恩が逆転してしまうッスからねぇ。流石に初対面の人から何て受け取れねえッスよ。
そんなことを考えつつ角がたたないようにやんわりと断った。
■セイン=ディバン > 「ん……同業者だったのか。いやぁ、ちょっと詳しくは聞かないで欲しいかな。
初歩の初歩の罠にかかった、なんてバレたら評判が落ちるから」
相手の言葉に、男は視線をつぃ、と逸らすが。
「フィーリスちゃんね。よろしく。
いやぁ、そういう訳にはなぁ……。
助けてもらって礼をしないってのは、冒険者としてはこれまた評価が落ちるきっかけになるわけで……」
相手が礼を断れば、男は困ったような表情になる。
年下の冒険者、しかも女の子に助けてもらって礼ができないというのは……。
男としては、中堅冒険者の名折れ、と考えているのだが。
そのまま男はうんうんと唸り。
「じゃあ、その。して欲しいこと、とか。
冒険者の先輩としてのアドバイス、とか。そういうのはどうだい?」
ぽかぽかと体が温まるのを感じつつ、そう提案する男。
■フィーリス > 「んー。そうッスねー。面子が傷付くのは流石にやばいッスよねー。」
少女はこれから数日分のスケジュールを思い浮かべながら自分の欲しいものを考える。
「あー、んじゃあ情報でどうッスか?セインさんの不利益にならない程度で良いんで幾つかの迷宮のマッピングしたやつを譲ってもらえれば。」
冒険者として日銭を稼ぐなら迷宮に潜るのが一番だ、だが彼女はパーティーを組まない単独冒険者であるため情報量が生死に直結する、一攫千金を狙っているわけでは無いので他人の攻略済のもので充分といった塩梅なのだろう。
■セイン=ディバン > 「そそそ。そうなんだよ。わかるだろ?」
相手の言葉に頷き、笑う男。
冒険者の成功、失敗と言う噂はすぐに同業者間で出回る。
特に、この男の様に恨みを買っている冒険者の失敗談などは、いわずもがなだ。
「あぁ、それでいいなら。全然かまわないよ。
ちょっと待っててな……」
相手からの提案に、男は表情をパッ、と明るくし、空中に手を伸ばす。
次の瞬間、何もない空間から羊皮紙が数枚出現し、男の手に収まり。
男は、それを相手に差し出す。
「ほい。俺の使い古しでよければ、だけれど。
あぁでも、荷物が多すぎて回収できなかったお宝とか、残してあるから。
案外、金稼ぎにはいいかもしれないな」
男が渡した羊皮紙には、様々なダンジョンのマップが描かれている。
おおよそ、国内の有名なダンジョンは網羅している上に、罠の位置、出現する魔物の種類なども記された物だ。
■フィーリス > 「便利なモン持ってるッスねー?次元倉庫系ッスか?それとも空間接続系ッスか?」
珍しくはあるが似たような事をする人物を知っていたので突然現れた羊皮紙にはそれほど驚いては居ないようだ。
「ここの迷宮は余裕。此方はちょっと私じゃ相性が悪いッスかねー、こっちは深さ的に消耗品で赤字にー。」
受け取ったマップを見比べて攻略の目処を立てていく、単独で走破できるもの、傭兵を雇う必要があるもの。自分には危険が高いもの、とそこらの冒険者とは比べ物にならない速度で読み、覚え、書き足し。脳内でシミュレーションし攻略していく。
「ん、おっと。申し訳ねーッス、ちょっと夢中になってしまったッス。大事な情報確かにいただいたッス。」
粗方攻略が完了したのだろうセインに向き直りペコリと頭を下げた。
■セイン=ディバン > 「ん~? どっちかと言えば空間接続系。
より正確に言うのなら、『登録した物体を呼び出せる魔術』ってやつ」
相手の質問には気軽に答えつつ、羊皮紙を手渡す男。
それに相手が目を通せば。
「……ふむふむ。なんなら、人手がいるなら声をかけてもらってもいいぜ。
ギルド『エデン』に連絡を入れてくれれば、優先で引き受けるし」
相手の攻略可能ダンジョンと、そうでないものとの判断基準を予測し、一応そう声をかける男であったが。
「いや、かまわないよ。それにしても……。
フィーリスちゃん。キミ、結構ヤル方だな?」
マップの確認の速度、そして判断の早さ。
若いが、どうやら駆け出しペーペー素人冒険者ではないな、と。
男は相手を見てニヤリ、と笑う。