2018/10/28 のログ
ご案内:「セレネルの海」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (―――――その場所を見つけたのは、ほんの偶然だった。

最近になって身についたとある能力を試しているうち、帰還に失敗して転げ出てしまった場所。
ほどよく冷たく、ほどよく湿った空気が満ちた、静かな空間。
砂浜に面していてときおり潮風が届くけれど、一定の静寂は保たれている。
ゴツゴツした岩壁にびっしりと生えたヒカリゴケらしきもののために、
ほんのりと明るく―――――なかなかに、居心地が良い。

ダイラスからもほど近いと気づいてから、ひとりの時間をここで過ごすことが増えた。
座るのにちょうど良い岩を見つけて腰かけ、持ちこんだ本を開いて―――――
結局、いくらも保たずに眠ってしまったとしても、危険な目に遭うことはなかった。

と、いうことで―――――今宵も、読書は進む気配がなく。
膝のうえに開いた本は、この場に腰を落ち着けてから、1ページもめくられていない。
やや俯き加減に薄く口を開けて、すよすよと心地良く寝息を立てているのだった。)

リュシー > (寒いと感じるほど涼しくもなく、不快に思うほどジメジメしてもおらず。
腰を下ろした岩は奇跡的に平らかで、座り心地も悪くない。
―――――となれば、己の眠りを妨げる要素など何も見当たらず―――――

ほんのすこしのつもりで眠気に身を任せたが、意識が浮上するきっかけは訪れない。
セルリアンブルーの光が満ちる空間に、今しばらくは、健やかな寝息がこぼれ続けることに―――――。)

ご案内:「セレネルの海」からリュシーさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」にオルナさんが現れました。
オルナ > ポタリ、――と時折雫の落ちる音が聞こえる。

その音を聞く者は一人。その人影は一つ。時折足元がおぼつかないのは湿気の残る祠のせいだろう。

海の際に忘れ去られた礼拝所の一つ。無数にある洞窟のうちの一つは、潮が引いた日にのみ姿を現すという。

「ふぅ、……」

調査という名目で出された依頼。怪異の噂も無く、古の魔術の一つでも調べられればと重くは考えていなくて。

黒を基調としたローブを浮かせ、凹凸にところどころ海水の残るそこを奥へと進んでいく。

杖先に灯る明かりは頼りないもののようにも見えるが、最奥の祭壇を調べるだけ。

奥に待つのは先を越した同業者か、人でないものか。塩気の濃い空気を感じ取るばかりでいて――

オルナ > 「ん、……うん?」

しばらくして、祠の最奥に祭られた祭壇。一部のみが淡く光を放つものの。魔力の残滓もほとんどなく

何か拵えが無いものか、特別な箇所は無いかと慎重に調べたものの。特にこれといったものもなく、

「ううん、……。よくあること」

独り呟きながら、調査の結果だけをどう依頼者に伝えようとかと考えつつ。その祭壇を後にする。

ポタリ、――と落ちる雫の音に紛れて、その後ろ姿をじっと見送る影にも気づかずに。

ご案内:「セレネルの海」からオルナさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」にリュシーさんが現れました。
リュシー > ん―――――…ぅわ、っ……!

(かく、と上体が大きく傾ぎ、椅子代わりにしていた岩から転げ落ちそうになった。
慌てて目を開け、咄嗟に手近な岩壁に手をついて身体を支えたけれど、
ぬるりとした壁面の感触が気持ち悪くて、うぇえ、と小さな呻き声を洩らす。
じっとりと湿ってしまった両手を擦り合わせながら、きょろきょろと周囲を眺め回し)

………あれ、……ここ、……あれ?

(己のおかれた状況が掴めずに、しばし―――――青い光の満ちた空間、
心地悪くはないけれど、明らかに寝室ではないようだし。
―――――そうして、やっと気づいた。)

やば、……帰ら、なきゃ………っ、―――――

(いつから落ちたままだったのか、湿気を吸って無残なありさまの本を拾い、
洞窟の出口を目指して腰を上げ、一歩―――――踏み出したところで、がくりと膝をついて崩れ落ちる。
ひどい眩暈に襲われて蹲り、ぐらぐらと煮え立つような思考回路のなかで、
はじめて、恐ろしいほどの飢えを自覚した。
―――――おなかが、すいた、なんて、そんな可愛らしいものではない。
下腹のあたりが、燃えるように熱くて―――――いまにも、滴り落ちてしまいそうに濡れはじめていた。)

リュシー > (ずきん、ずきん―――――頭が、お腹の奥が、熱くて、痛い。

衝動を制御できるまで、あるいは堪えられずに本能だけのモノに成り果てるまで。
ひとり、ほの明かりに照らされた洞穴の中で、荒い呼吸を繰り返すことになり―――――。)

ご案内:「セレネルの海」からリュシーさんが去りました。