2018/09/07 のログ
ご案内:「セレネルの海 砂浜」にパラスワームさんが現れました。
■パラスワーム > 砂浜を山野を駆ける為に発達した足でギュギュと踏みしめ歩くのは砂浜に姿を見せることなど滅多にない1頭の狼だった。
白く滑らかな砂は獣が歩くのに適している様には見えないが、狼は器用に肉球を爪を使い踏み体重を支え、海水がしみこむことで少しは固まる砂浜を何かを探すように彷徨っている。
時々ヒタっと足を止めては鼻先を夜空に向け、鼻腔をヒスヒスと動かし潮の香りに混じる何かの匂いを探し、暫くすると鼻先を下ろして再び歩き彷徨うのをくり返して、何かを探し歩いているのは誰が見ても判るだろうか。
遠目から、傍目から見てしまえば獣が散歩している様に見える。
しかし実際獣が探しているのは次の寄生先であり苗床である。
――…海岸線や砂浜には寄生できる生物や植物は少なく、時間としては人が迷い込んでくると考え難い場所では有るが狼は彼の獣に寄生した触手達はそれを知らない。
いや狼が狼であればそれくらいは本能が察したかもしれないが、残念ながらその本能は寄生生物に喰われ飲み込まれ傀儡と化し何の役にも立たなくなっている。
「コオオオオォォォン………。」
狼は吼えた。
唸り怒りを露にする咆哮とは違う、まるで何かを呼ぶような狼が鳴いて発するとは思えない不可思議な音色の声で吼える。
ビリッと空気が震え、大気が戦慄くも、直ぐに吼えるのを止めると、また足を止めたり、潮風の中より何かの匂いを探しをくり返す、異常な行動に戻る。
パラスワーム
モンスターとしての見かけは有り触れた触手型の生物。
卑猥な形に膨らんだ頭部に生々しき桃色の肉を思わせる色をした蛇の如き生物、それの群れ。
個でありながら、群れであり、群れでありながら個である彼らは決して強い部類の魔物ではないが為、こうやって野生の獣などに寄生してその身体を奪い、その身体能力を利用して狩をするのだ。
喰う為などではない。
犯し、産ませ、増える為にである。
全てが雄であり一匹一匹が生殖器の様な歪んだ進化を遂げたモンスター。
それが野生の狼に寄生して今夜はセレネルの海の砂浜をうろうろしている。