2018/08/17 のログ
ご案内:「セレネルの海/海辺の洞窟」にギィギさんが現れました。
ギィギ > ――セレネルの海
その海の底には宝を守る竜が居るとか、誰も見たことがない迷宮が遺跡が存在するとか、数多の噂と真実が隠れている何処までも広く深い海……。

今宵はそんな冒険者や海賊達が物語を綴る危険な場所ではなく、そんな海でも穏やかで誰もが足を踏み入れる事が出来る自然の生み出した洞窟が舞台である。

穏やかなるセレネルの海が創りだす波に削られて、潮に磨かれて、迷宮とは違う創り方で生まれた岩壁に作られた天然の洞窟。

其処は潮の香りに満ち溢れ、その流れに残された発光する微生物たちが星の如く洞窟を照らし、磨かれた岩壁が入り口より差し込む月明かりを飲み込んで反射し、奥のほうまでほんのりと明るいのだが、今宵はどうもそれだけでは終わらないようで、月明かりに微生物の光に妙に艶やかなヌメリを帯びた輝きが其処彼処で見受けられるだろう。

それは洞窟に迷い込んだスライムの亜種、ギィギと呼称されるスライムが這いずった痕であり、彼が洞窟の隅々に薄く広く自らの身体を散らし延ばし、洞窟の入り口から中ほどまでを自らの体で領域と化した所為、つまり普通の人間ですら入り込み遊ぶ海辺の洞窟をスライムが巣に作り変えた証左であった。

そんな場所に踏み込んでしまう者がいるかは誰にもわからない。

もし居るとしたらそんな危険な状況を知らず入り込む何も知らぬ常人かそれとも異変に気がつき退治を依頼された冒険者か、知識欲を抑えきれぬ学者か魔導の道を行くものか。

スライムの亜種はただただ待ち侘びる。

誰であれ喰らい尽くして栄養に変える為。

時間は有限では有るが潮が入り込むまで時間がまだある事も本能的に理解をしている……。

ずる……ずるり……ずるる……ずるり………

潮騒に紛れ這いずる音はそんなスライムが身体を揺する音だった。

ギィギ > 粘液が這いずれば波に磨かれた洞窟の壁が天井がより滑らかに、更には分泌する粘液が岩壁の表面を艶やかに彩り、微生物が発光する輝きが、入り口から差し込む月の光がより鮮明になろうか、スライムの望んだ事ではない、が今宵の洞窟は一層煌びやかで幻想的だった。

ずる……ずるり……ずり……ずり………

粘液の体は全体が感覚器であり肉である。
身体を大きく広げる事でまるで何かの腹の中のように鋭敏に反応するだろう、例えば生物の匂い、鼓動、発する音、それら全てを鋭敏に受け止めて反応し、もし現実的に誰かが入り込んでくればその身体に覆い被さり、洞窟全てに為りかけている体で余す所無く栄養に変えてしまう。

――若しくは、その洞窟を中心に広がる為の栄養素か苗床か、捕まってしまえば洞窟から逃げる事は難しくなるだろう、唯一のチャンスはスライムが苦手とする海水が流れ込む僅かな時間か、それすらも克服する為に獲物が栄養が必要なのだ。

奥に閉じこもり厚く壁を張るもよし、獲物に寄生して外に逃げるもよし、何はともあれその糧をその時を洞窟の壁を天井を舐め這いずりながら待ち侘びているのだった。

ギィギ > 今宵は残念ながら獲物には有りつけない様だ。
先程まで薄ら香るだけであった潮の香りが濃くなり、洞窟内に響いていた穏やかな潮騒が強さを増すと、入り口より海水が流入を始めて、苦手な塩分と水が入り込んできたことでスライムの亜種は洞窟の奥の奥へと逃げていくだろう。

きっと洞窟の奥には海水の溜まらない場所があるのか、それとも外に出る穴でもあるのか、ともかく、スライムは大慌てで逃げ去っていくのであった。

ご案内:「セレネルの海/海辺の洞窟」からギィギさんが去りました。