2018/07/16 のログ
ご案内:「セレネルの海」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (昼間は、太陽はもういい、とわめきたくなるほどの晴天だった気がする。
日暮れを迎えてしばし、頭上に広がる空は墨色の雲に覆われており、
星はおろか、月の姿さえぼんやりとしか見えない。
かろうじて、砂浜はほの白く浮かびあがってみえるものの、
静かに寄せては返す波頭がときおり煌めく以外、
眼前に望む海はただ、べったりと闇の色に沈んでいた。

砂浜の一隅に流れ着いたと思しき倒木へ腰を下ろし、
靴と靴下を脱いだ素足で白砂を感じながら、己はもう半時ほども、
ぼんやりと夜の海を眺めて過ごしていた。

昔の己であったら、きっとこんな面白みのない景色、
そもそも見にこようとすら考えなかっただろうと思う。
けれど、いっそ物騒なほどの静けさが、闇の重苦しさが、
どこか、落ち着くものだと感じてしまう己が居た。
―――考えることは山積みで、でも、どんな考えも長続きしない。
潮風を浴びる前から錆びついていたのかもしれない脳みそを叱咤するよう、
こつこつ、とこめかみ辺りをこぶしで叩いて、ため息交じりの弱い笑みをこぼした)

リュシー > ――――― ぁ、…つ………ぅ………。

(生あたたかい潮風に頬や首筋を弄られるのは、おせじにも心地良いとは言えない。
でも、ふとした瞬間に―――たとえばひと目に晒される緊張感から解き放たれたこんな場面で、
はじめに疼くような熱を感じるのは、いつだって下腹の辺り。
わずかに眉をひそめ、くちびるを噛んで吐息を殺しながら、
両手でぎゅっと、ドレスのうえからお腹を押さえ)

……たまん、ない…なぁ、これ……。

(己はやっぱり、もう人間とは呼べないのかもしれない、と、
思ってしまうのはこんな瞬間だった。
―――きっとこのからだはもう、人間よりもアチラ側に近いのだ、と)