2018/04/06 のログ
ご案内:「セレネルの海」にエズラさんが現れました。
■エズラ > 「あちゃー……ったく、失敗したぜ――」
セレネルの海に面した岸壁――そこにある小さな洞窟の中で、男は独りごちた。
いつものように、キャンプを楽しもうとやって来て――テントを設営する前に、軽く釣りでも、と考えたのが間違っていた。
不意に大雨に降られ、びしょ濡れになりながらようやく雨宿りできる場所を見つけたのである。
「おお~さむ……――」
何とかカンテラの明かりは消さずに済んだが、暖をとれるわけではない。
簡単な火を熾す程度の魔法は心得ていたが、それを長時間維持するほどの能力はない。
仕方なく、薪に使えそうなものがないか、周囲を見回してみる――
ご案内:「セレネルの海」にリリィさんが現れました。
■リリィ > 「ひゃぁぁ……雨、雨ーっっ」
(つい先日この地に打ち上げられたエルフの娘。今日も何かしら自分以外の者や物が打ち上げられていないかとチェックにきたのだが、雨に振られてしまう。)
「あ、洞窟洞窟っ、わわ、っもー。こんな雨とか無いよぉー」
(とろんとした顔をしかめっ面にしながらなんとか雨の中見つける事ができた洞窟に飛び込む。そうすれば、そこには先客がいて。)
「……あれ、先客さんがいましたかっ。お邪魔ですか?」
(ずぶ濡れ姿のまま、シャツを肌に張り付かせつつえへへ、と緩んだ笑みで敵意がない事を証明する。)
■エズラ > 「……ったく、そんなに都合よくはいかねぇよな……っと?」
とりあえず、視界に薪の代わりになりそうなものはない――
それを確認して、ため息をつきそうになったまさにその時、自分と同じような濡れ鼠が洞窟へと避難してきた――
「おおっ……脅かすなよ――いや、別に邪魔じゃねぇよ――そっちも雨宿りかい」
薄暗い中、相手の姿――声色から女であることは察していた――を確認するため、カンテラの明かりを向ける。
丁度、こちらの顔も向こうに見えるようになるだろう――
■リリィ > 「えぇー。ちょっと海を見に来たんですが、どうにも運が悪いですねー」
(あはは、と軽く笑って頭を掻く。明かりを向けられたなら、濡れて頬に張り付く金色の髪やあまり頭のよくなさそうな緩い笑顔、ぐっしょりと濡れた薄い衣類が見て取れる事だろう。)
「邪魔でないのなら、雨が止むまでご一緒させてもらっていいですかー?
……へくちっ」
(ぺこりと頭を下げてからくしゃみを1回。火の魔法でも使えるのならこういう時に暖をとれるのだが……行使可能なものは水の魔法のみ。こういう場合にはまったくもって役に立たない。)
■エズラ > 「まったくだ――急に降ってきやがったからな」
見れば、年若い女――まだ少女と言ってもよさそうである。
体躯もずいぶん小柄――ではあったが、その胸元は見た目と打って変わって自己主張が激しい。
こちらと同様、全身すっかりびしょ濡れなので、身体のラインがよく見えた。
「ああ、構わないぜ――エズラだ。よろしくな」
短い付き合いになるといいな――と呟きつつ、洞窟の外を見る。
雨脚はまだまだとどまる様子を見せない――
「すまねぇな、オレも火を熾そうとしてたんだが――どーにもこれじゃな……――」
男の傍らには、簡単な旅荷物が放り出されていたが――やはり、びしょ濡れ。
ひとまず、ここで雨が止むのを待つしかなさそうである――
■リリィ > 「へくちっ。あ、はい。私はリリィです。よろしくですー。
……ううーん、うーん、困りましたねー」
(カンテラを向けてきた男性、エズラの荷物もびしょ濡れで、どうにも火を熾すに適したものはない様子。よくある手段であれば服を脱いで温め合う等が考えられるものの、そもそもこの場で脱げば寒さが増すだけだろう。肌のこすり合わせ程度ではどうにも成らない。)
『仕方ないですねー。あんまり、残りも心もとないんですがー』
(うーん、と悩む様子を見せてから、うん、と頷き。)
「よいしょっとー。火種はー……エズラさんなら、これ、使えますかねー?」
(右手を差し出し、その先に亜空間を発生させ。そこからにょきにょきと濡れていない着替えを3着分取り出してから、濡れていない地面に置く。その上で自分には使えないが、火属性の魔法を使えるのであれば使用できる着火符という魔法の符を差し出してみる。)
■エズラ > 「んん、どういう――おおっ」
少女の差し出した手の中から、次々と衣服が沸いて出た。
以前所属していた傭兵団の中に、同じような術を使う者がいたので、それほど驚きはしなかったのであるが――
あまりに唐突であったため、流石に目を丸くする。
「こいつぁ便利だな――いや、ありがてぇ。ちょっと待ってな――」
呪符を受け取ると、地面に固められた衣服の上にそれを重ねる。
そして、一度少女に「危険はねぇよ」とアイコンタクトした後――壁に立て掛けてあった剣を引き抜く。
その切っ先を呪符に突き立て、刀身を指で撫でながら小さく何ごとか呟く。
すると、鍔元から切っ先に向かってオレンジ色の光の筋がジグザグに伸び――呪符に達したところで、大きく発火。
一気に洞窟が明るくなる――
「……いよしっ、成功した――」
魔法の力で生じた炎が、呪符に伝わり、火種へ燃え広がっていく。
あとは、波に流されてきた小枝や棒きれ――湿っていてそのままでは薪として使えないが、一度着火してしまえば話は別――を集め、焚き火を安定させる。
これで、暖を取ることができそうだ。
「助かったぜリリィ……面白い技を持ってるな」