2018/01/27 のログ
ご案内:「セレネルの海 王都近くの入江」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 「…うっし、このへんでいいか」

たどりついたのは王都に近い入江。
少し高めの岩場にかこまれ、孤立したかのような海辺だ。
広めの砂浜に荷物をおいて、大きく伸び。ランタンの灯りがぼんやりと周囲を照らす。
夏の昼間であれば、誰かしらが陣取りそうなほどに絶好のロケーションではあるが
今は、夜で冬だ。
こんなところにいる人間はそうはいないだろう。

「さてと…『キーン』、起きろ」

砂浜においた荷物袋から取り出すは鷹の石像。
鷹匠のように腕の上に置いて、ボソリとコマンドワード。
その鷹の名を呼ぶ。
すると、まるで生きていたかのように鷹の像が動き出す。

ブレイド > 動き出した鷹は腕から飛び立つと、頭上を二週ほど旋回して
少年の頭に着地する。
石の重量と、飛行速度の衝撃が首に襲いかかる。

「うっげ!?」

気を抜いたら首が折れるところだ。
さて、なぜこのようなところに来たかというと、この鷹のガーゴイルの扱いに慣れるためである。
露天商から譲ってもらったのだが、鷹匠の心得がないためか、あまり言うことを聞かないというか、舐められているというか。
なので、人のいないところで練習でもしようかと思っていたわけなのだが…。

「こんにゃろ…おりっ……おりろっ!」

早速これである。

ブレイド > 商人曰く、『気に入られてる』らしいが、どうもそうは思えない。
とりあえず頭からどかそうと捉えようとするが、捕まりそうになれば空を飛び
すきを見ては頭に着地、時々頭をくちばしで突く。

石像が何度も頭の上で跳ねるのだから、首は相当つらいことになっている。
突くクチバシも石でできているため、相当痛い。

「くっそがぁぁ……」

何度かわちゃわちゃとした結果
結局頭の上で落ち着かれてしまった。

ブレイド > 言葉が通じるなら、言えばわかるかもしれないが
なんでもこのガーゴイル、本物の鷹の魂が入っているらしい。
ゆえに、会話による意思疎通は出来ない。
そして、ガーゴイルであるため餌付けも不可能。
強いていうならば、魔力的つながりがあるというくらいか。
更に自分には鷹匠としての技能はまったくない。

「どうしろってんだ、これ……」

来てそうそうだが、砂浜にあぐらをかいて考え込んでしまう。
その頭の上には石の鷹。
たしかに、この状況で何処かに飛び去っていかないあたりは気に入られているのかもしれない。
止まり木としてだが。

ブレイド > まさかとは思うが…これも勉強しなければならないのだろうか?
鷹匠の勉強?
魔力が餌だというなら、魔力の供給について…つまり、魔法の勉強?

「冗談きついぜ……」

料理、薬学、ちょっとした医術…最近勉強づくめなのだ。
ここにさらなる課題が増えるとなると、頭が痛くなる。
潮風に頬を撫でられつつも遠い目で水平線のあるであろう闇を見つめる。
冒険者として戦闘もこなさなきゃならない。
戦う力もまだ未熟だというのに、覚えることが多すぎる。

「はぁ…」

思わずため息を付いてしまった。
頭上の鷹が甲高い鳴き声を上げる。

ブレイド > 「動物会話……いや、そんなもんどこでおぼえんだ…」

ふと思いついたが、すぐに正気に戻る。
できる種族や、そういう特殊能力をもったものもいるとはきくが…
少なくとも自分にはできない。

「………ひとまず、全部いっぺんにやろうとするからキツくなんだよな」

一つ一つかたづけていくか?
だが、それはそれで、時間がかかりそうだ。
首を傾げると、たかがバランスをとるように移動する。

ブレイド > 「おもてぇ…」

鷹が場所を変えたから、首をもとに戻せない。
冬の入江、砂浜であぐらをかいて首を傾げ、石の鷹を頭に乗せている。
なんてマヌケな。
そして首がもとに戻せないのだから更に間抜けだ。
誰もいない入江だからまだ良かったものの…。

「……来た意味なかったな、ここ…」

ブレイド > 「やっぱ勉強からか…つれぇな……
おもてぇから、そろそろ戻れ」

手をひらひらと振ると、鷹は羽ばたきその手の上に降りる。

「ぐおっ!?」

急激な重さと衝撃に手首が折れそうになるも、なんとか耐えた。
あと、側頭部に飛び立つ衝撃を食らって体制を崩しかける。

「……たまーに、素直だな…おまえ…」

ブレイド > もう一度コマンドワードを唱えれば、鷹は石像に戻る。

「…どうなってんだか…ってて…」

魔法に詳しいわけではないので首を傾げつつも、荷物袋に石像を突っ込みつつ首の痛みに顔をしかめる。
長時間石像を頭に乗せていればこうもなろう。
むしろ、首も鍛えなくてはいけないのだろうか?
思わず肩を落としてしまった。

「まぁ、気づけただけましか…」

砂を払って立ち上がり、大きく伸び。
首も動かして、軽く柔軟体操。
そして、浜辺に背を向け帰路につく。

ご案内:「セレネルの海 王都近くの入江」からブレイドさんが去りました。