2018/01/01 のログ
ご案内:「セレネルの海」にサナさんが現れました。
サナ > 海があると、教わったその足で街を離れる。
人通りも少なかったが、偶々すれ違う人を捕まえては道を聞き直す。

砂浜の入口で、靴を脱いで片手に纏める。
さくりと、沈む柔らかな質感は馴染の深いもの
風が雪混じりで凍える程冷たくても、砂嵐でも無ければ足を取られたりもしない。
舗装された道を歩むように危うげない足取りで波打ち際を目指す。

耳に届いていた波音が徐々に近づき、
濡れた砂を踏んだ瞬間足が縺れた

「う……わ、」

ざざ、と。波が引いて行くと同時に砂が逃げる
足場を残して溝のように抉れた砂地を、腰を屈めて指先で攫う。
濡れた砂はさらりと逃げずに、塊がぽろりと手元で崩れた。
違うもののように、


指を擦り合わせて落とし、貌を上げる。
一面の海は

「………黒い。良く見えない……」

サナ > 「泳いでみたかったけど、風邪ひきそう」

風が強く、フードを頭から掠め取られる。
ばさばさと髪が靡く中、靴を持った儘布地をたくしあげる。
濡らしてしまわないように太腿の際まで引き上げて、腰の間際で結わい込む。

ざぶりと波を掻き分けて数歩進み―――――数歩しか持たずに引き返して来る。砂地へと

「寒い、…し、危ない……」

サナ > 砂地に脚を投げ出すように座る。
濡れた肌にびっちりと砂が付着して、思わず横合いから覗き込んでしまう。指先で削るとぱらりと取れて、乾いた処から落ちていくようだった。
結んだ裾も重たく湿って、帰りしなが寒く冷たくなりそうだった、から。
服の襟元から頭を抜き、背中から被せて前は膝で隠した。


緩く踵をずりあげて。
立てた膝の上に腕を乗せてしげしげと目の前の海を眺める。

暗すぎて、今はぽっかりと口を開けたような闇に沈む
水平線も見えないけれど、一面の水はやはり物珍しく腰を上げるタイミングすら逃してしまう程。

誰かに初めて見た海のことを言いたい気もしたけれど、
屹度この傍で暮らすのなら、当たり前のものなんだろう。

指先に付着していた砂が剥がれ落ちる。
乾いた指先を唇へと運ぶ。ちらりと舐めると辛い塩の味。