2017/06/03 のログ
ご案内:「セレネルの海」にアインズさんが現れました。
アインズ > 首都マグメールより程近い白い砂浜が美しい海岸。
今夜は月はうす雲により陰り、星の明かりすら淡く、そんな夜に出歩く人が居る筈も無い海岸は人気が少なく非常に静かであった。
唯一する音と言えば潮騒の音、波が引いては寄せるその音だけが静かに木霊し、寂しげな夜の海を演出している。

白い砂浜の所々には黒い岩が転がり、からからに乾いた流木が転がっているそんな場所に今夜は人ではなく人間の頭部程もある巨大な目玉が音もなく触手を蠢かせながら浮遊している。

それも他者の視線を避けるように岩場から岩場に、時折巨大な流木の影から影に……。
だがそれと同時に何かを探している様でもあった。
体の半分ほどを占める巨大な金色の眼球で右を眺め、左を眺め、体から生えた触手を揺らして岩陰を覗く仕草も見せる。

――彼の巨大な目玉に触手を生やした魔物の名はアインズ。
基本的には遺跡から出る事がなく、薄暗い場所でじっと獲物を待ち、光を避けるように迷宮を彷徨う魔物であるが、どうしてか月明かりがうす雲に隠れたセレネルの海の海岸線を彷徨っている。

アインズ > 岩場の影、流木に空いた空洞の中、金色の眼球に触手が生えただけの魔物は矢張り何かを探しているような様子を見せる。
特に「ニンゲン」が隠れそうな場所、入り込めそうな場所はジィと覗き込んだ後に身体に生える触手を1本だけ伸ばして、ずりずりとその触手の表面であちらこちらを撫でて、本当に居ないか触感を用いても探しているようだ。

にゅるっ……にゅる…………ぺた、ぺた………。

潮騒の中に混じる新たな音は魔物が触手を伸ばす音、何かに触れる音、粘り気のある重たい液体と他の何がふれあい空気が混ざる音。

――魔物は探している。
身体の全ての力を感覚を使い、彼らの母体になるべく活力に満ちた「ニンゲン」の存在を隠れていないかと……。

強くもなく、隠れてもいない程よく冷たく輝く月明かりが降り注ぐ繁殖に適した夜にそんな都合よく彷徨う「ニンゲン」を探して交尾する為に執拗に……執拗に………。