2017/05/30 のログ
ご案内:「セレネルの海」にオルセィユさんが現れました。
■オルセィユ > 暑い。夜中に起き出したあとで熱い茶を飲んだのが悪かったか。夜風で幾らか癒えはしたが熱をもつ足を浸しに、通りがかった海へ入ろうと、革靴を脱いで砂で埋まる岸辺へと歩いて行き。
ざばん。小気味がよい音を立てて波が砕け、飛沫が体全体にかかる。
足を浸すだけでもよかったが、塩辛い匂いが楽しさを誘い上着として着ていたワンピース風の布を脱いで腰に巻くと、流石にちょっと涼しさが倍増。夜というのに波乗りが向こうではしゃいでいる、一人脱いで立ち往生が恥ずかしいので波の中に入ってゆき。
「―――うー。冷たいと思った、足元の水は生ぬるい気もするね。」
小さくうめいて。髪が夜風に靡いて肩が水を弾く。瞬きで塩水の痛さを還元し腰元まで浸かってしまったことへ安堵して口を緩め。
■オルセィユ > 太い腕で塩水をすくって両手にて杯を持つ手みたいに頭上の前へ高く掲げ。そうやって水がこぼれるキラキラとした光を楽しんでから、すぐに砂時計みたいに落ちてしまう時間を惜しむらく、両手杯で掲げ上げた海水を手を広げ離して開放し。
塩水が下腹部の下から体内へと涼しい温度でまるで染みてくるようだ。波がどんどん来て腰に纏わる巻いたワンピース布を取り去ってしまおうと悪戯に試みる。まるでそこに水霊がいてかいなを伸ばして遊んでいるように。
「ほしいのはわかるけど。波は千切れた海藻しか着るものがないから。これを持って行かれると帰りに困るんだ?」
見えはしないが、波にいま棲物がいると仮定してそうやって遊んで呼びかけるのも、夜の波に対する怖じ気を取り払う行為かもしれない。
■オルセィユ > 溺れてしまうかもという怖さは真っ黒な夜の波を見ているとやって来る。彫像だったときほど重たい体を今はしていないのに。そういう怖さは頭で考える部分の外側で大脳辺縁と呼ばれる部分に位置していかにも人類の進化を思わせることだったが。実際は怖さというほどのものは感じてなくて、足の膝下がちょっと心許ないだけ。自分がいま彫像だったら足下から崩れ去る兆候といってよいと想像して口を上下むっつりと合わせて黙る。
波は相変わらず体と同化して染み入ろうと試みてき。
「海はわたしが好きなのね。ひびがあったら染み込んで来ようとするところは前と変わらない意地悪だ。」
奥歯で肉厚のほぞを噛み締めるように言って。濡れてキラキラ光る暗いまなこで海面を見詰め。
■オルセィユ > さて足も浸したし帰ろうか。冷たい波に当たった癖に体は掌から順に火照りを感じている、足元は水から上がるとすぐ生温くなって。海水を吸って重く濡れたワンピースを腰から外して被ろうとしたらひっついてうまくいかない。
破らない程度に無理やり着て、サンダルを突っかけようと探しに砂浜を歩いて行って。朝日が登る前に去るだろう。
ご案内:「セレネルの海」からオルセィユさんが去りました。