2017/04/25 のログ
ご案内:「セレネルの海」にノエル・ベネトーさんが現れました。
■ノエル・ベネトー > 初夏の気配がすぐそこにある時期だが、海辺は涼しかった。
今日は日帰りできるように朝から出発し、浜辺で過ごして昼過ぎ。
ジャバジャバ海水に入って行かないあたり、ここ数日間は
おとなしく過ごさなければと本人なりに思っているらしい。
砂浜の上でのんびり座り、波音を聞きながら繕いものをしている。
ちょいちょいトラブル招いて破ってしまった自分の衣服である。
―――びくっと、肩が揺れる。
指を針で刺してしまった。
見れば時間差で血が滲み始め、ぷくっと丸くなる。
しかしその程度だ。痛みも残らない人差し指を口に含んで舐め取ると作業再開。
「―――夏になったらお友達と泳ぎに来たいですねえ。」
友人自体が少ないので頭に浮かぶのは本当にわずかな人数なのだが、
みんな優しいから付き合ってくれそうだとも思う。
そしてそんな風に思考が脱線するから失敗するのだ。
「ぃ、………っつぅ…。」
また刺した。
ご案内:「セレネルの海」にエズラさんが現れました。
■エズラ > 早朝から続いていた貨物船の荷下ろしが終わり、午後からは急遽次の便が欠航になったとかで、すっかり暇になってしまった。給金を受け取ると、もうやることがない――そういうわけで、ぶらりぶらりと砂浜を散歩していると――ふと、見知ったエルフの後ろ姿に気付いたのである。
「――よう、ノエルちゃん――」
声をかけながら、白い砂を践みつつ歩み寄る。どうやら縫い物をしているらしかった――前に会った時に比べて、そのお腹はふっくらと大きく膨らんでおり、それがますます彼女の持つほんわかとしたオーラをさらに助長しており、自然と男の口元には笑みが浮かんでしまう。
「お腹、順調そうだな――赤んぼの服でも縫ってるのか?」
■ノエル・ベネトー > 「あっ、エズラさ~ん。」
振り返った先の数少ない友人に、顔がふにゃ~んとほころぶ。
ここまで来てわざわざこんな日常的な作業に勤しんでいるのは、明らかに退屈しているからである。
彼といればその退屈も吹き飛ぶだろう。
ここに、と促す片手が自分の真横の砂を叩く。
そういえば、赤子の服も縫わなくてはいけない気がするけれどそんなこと思いもつかなかった。
そもそも自分で精一杯、なところがある。
「そんな暇ないですよう。
自分の服が破れてばっかりで追いつきません。
今日お仕事ですかあ?お休みですか?」
お休みなら遊んでもらえるのだろうかと、期待の眼差しがきらきらと彼を射抜く。
手元はすっかりお留守である。
■エズラ > 互いに笑みを交わし合うと、促されるままに相手の隣にどっこいしょ、と腰をおろす。照りつける太陽はまだ真夏のものではないにせよ、もう十分に暑さを感じるほどには猛威を振るっている。
「近くの港で、午後からも仕事が入ってたんだがよぅ――急になくなっちまったもんだから、ちょうど暇してたとこなんだよ。」
まだまだ暑くなりそうな時間――実入りは減ったが、まぁそれもいいかと楽天的に考えている。ごろん、と浜辺に寝転がると、片肘をついて横臥する。視線の先に、相手の身体を捉えて――
「う~む……それにしても、見事なもんだ……ノエルちゃん、裸婦画のモデルなんかしたら、すげぇ儲かると思うぜ。」
柔らかな表情と、肉感的な肢体、それに母性と慈しみを感じさせる妊婦姿とくれば、街の芸術家が張り切って筆を染めるだろう。もっとも――そういう「まとも」な連中ばかりでもないのが、面倒なところではあったが。
■ノエル・ベネトー > 「ほんとですか~。じゃあ今日はわたしにお付き合いしてくださいよ~。
この辺でどこか楽しい場所とか知りません?」
縫物に関して即放棄しそうな勢いである。
彼にとってはアンラッキーかもしれないが、エルフにとってはラッキーな話だった。
「ん…?絵を描いてもらうだけでお金がもらえるってことですか?
そんな素敵なお仕事があるんですかあ。
誰か描かれる方がいらっしゃれば紹介してくださいよう。」
オイシイ話には何とか、と言うけれども、どこにでも首を突っ込むのがこのエルフ。
横で寝転がる彼とのんびり話し、微笑みながらたまに思い出したように服を縫う姿は
彼とよく共有する『幸せ』を体現したような光景であったが―――
「午前中はそうでもなかったんですけどぉ…おひさまが上に来ると暑いですね。」
日焼け対策は何もしてこなかったので黒焦げエルフができあがりそうな紫外線に手の甲で汗を拭う。
少し前、彼とこの辺で会った時はここまで暑くなかったから季節はすぐに移ろう、ということなのだろう。
■エズラ > 「……――そーだな、ちゃんとしたヤツが見つかったら、声かけてみるよ。」
何せこの国には闇の商売に手を染めている者が多い――彼女のような性格だと、よほどしっかり裏取りをしておかないと、辛い目に遭わせることになってしまいそうなので、今すぐに紹介、というわけにもいかなかった。そして、にま、と笑みを浮かべる。
「おう、もちろん付き合うぜ――楽しい場所か……――」
む~ん、と天を仰ぐように寝っ転がって、しばらくなにごとか考えていたが、ふと思いついたように身を起こすと、立ち上がって歩み寄る――
「そーだ、このあたりにゃ「秘密の場所」があったぜ――連れてってやるよ、ノエルちゃん。」
手をさしのべて、相手が立ち上がるのを助ける。その後は、彼女を連れ立って暫し浜辺を歩き進むのであった――
ご案内:「セレネルの海」からエズラさんが去りました。
■ノエル・ベネトー > 今のお仕事に文句はないどころか、かなり待遇よくしてもらっているのだが、
お金はあるに越したことがないのだと王都で学んだ。
相手の言葉に期待を残しつつ、さらにまた違う期待を含ませる彼について行くことに。
「秘密の場所ってドキドキする言い方ですねー!
うふふ。目を瞑って歩いたほうがいいですかあ?」
乙女チックなこと言いつつ、彼の手を取り砂浜をさくさく歩く。
―――案の定、繕いもの一式はそこに置いて行ったのだけれど
特別お金になるものでもないし、帰りに取りに戻れば大丈夫…の、筈。
ご案内:「セレネルの海」からノエル・ベネトーさんが去りました。