2017/04/22 のログ
ご案内:「セレネルの海」にグレヌアンギュさんが現れました。
グレヌアンギュ > だいぶ気温が暖かくなってきたとはいえ、海水浴にも夜の散歩にもまだ向かない春の一夜の話。
白い砂浜、寄せては引く波の音、時折夜行性の海鳥か鳥の魔物かが無く静けさと騒がしさの入り混じった少しだけ賑やかな夜ではあるが、今宵はその音の中に何とも卑猥で重たい水音が混じっているが聞こえるだろうか。

ねちゃ……ねちゃ……にちゃにちゃ………
と、空気と重たい粘液が絡み合い、淫猥でおぞましい音色が白い砂浜のあちらこちらから響いていて、よく砂浜を観察すれば潮騒を奏でる波の様に白い砂浜が波打ってさえ見えるだろう。
その音と波を奏でるモノは白い砂浜を縦横無尽に蠢き泳ぐグレヌアンギュと呼ばれる海蛇ともウナギとも似ていてある意味につかない脆弱な魔物である。
彼らは海水を泳ぐのと同様に柔らかくサラサラの白い砂の中を身体をくねらせ、表皮から滲む粘液で砂を避け泳いで獲物を探している。

彼らは誰かが白い砂浜に足を踏み込めばその僅かな振動でそれを察知し、引きずり込み、群がり、その者の胎を借りて繁殖する脆弱でありながら危険な魔物なのだが、その透明な肉で獲物を襲う姿は酷く卑猥であり、粘液もまた様々な霊薬の媒体やそれだけでも効果のあるモノである、それを理解していれば逆に捕まえてやろうと思う冒険者もいるかもしれない、がキケンな事には変わりない。

今宵は欲望の権化達の巣食う白い砂浜に迷い込んでしまう者はいるだろうか、それは誰にもわからない……。

グレヌアンギュ > 結局今宵は迷い込んでくる哀れな人間はいないようだ。
最初は騒がしく蠢いていた透明な肉を持つ触手生物達も次第に大人しくなり、白い砂浜の奥底に沈んで次なる時を待つようだ。

潮騒の音色にはもう卑猥な音は混じらない
潮の香りに混じる生臭い香りもない……。
海はまた静かな時間を取り戻したようだ……。

ご案内:「セレネルの海」からグレヌアンギュさんが去りました。