2017/04/01 のログ
ご案内:「セレネルの海」にグレヌアンギュさんが現れました。
グレヌアンギュ > 寒さが幾分和らいでいるからと言ってまだまだ海水浴には程遠い冬から春へ一歩だけ踏み込んだような、曖昧で不安定な季節。今宵も夜空から月明かりの冷たい輝きが降り注ぎ、セレネルの海を鮮やかに煌かせる。

セレネルの海でも波緩やかな白い砂浜が綺麗な海岸線。その一見して平和そうな白い砂浜に今宵は非常に性質の悪い魔物が群れを成して巣食っていた。それは透明な肉と表皮を持ったウナギにも海蛇にも良く似た水棲の触手生物。水棲でありながら身体にまとう粘液の水分だけで柔らかな砂の中であれば長時間動き回れるという厄介な生物である。しかし、その魔物の肉は美味であるとか、厄介な理由が世の好事家が好んで生きたまま取引するというある意味で金のなる木でもあった。

純白の砂を盛り上げ、粘液で砂を湿らせて黒い痣を残し、触手生物達は繁殖相手を求めて彷徨う。同族ではなく、ヒト、獣ではなく人間を苗床にする為に微細な振動と獲物の声、そして匂いを求めてウゾウゾと砂の中を泳ぎまわっている。その透明な肉や表皮に砂が付着する事はない、動くたびに粘液が砂を退け、直ぐに新たな粘液を分泌し、気がつば辺りの砂地は粘液と混ざり不安定な足場になっているだろう。