2016/07/23 のログ
■アル > 夜目が聞く。器用。最低限の自衛ができる。逃げ足が速い。
ある意味では、ピッタリな日雇いの仕事があっただけ幸運だったのだろうか?
それでも、これは違うと、自分の中の何かが叫ぶ。しかし、背に腹は代えられないよう、財布の中身が勝手に増えることもない。
生きていくには最低限のお金は必要で、調査の下準備にも資金が必要。
その大事な軍資金を、欲望のまま使ったのは間違いなく本人の意思――その時の欲望に負けたとしても自己責任だろう。
「今日は雲が薄いな。月が、あんなに大きかったんだ」
ふと、波の音に足を止めると空を見上げて、大きな円形の月の淡い輝きに大きな目を細めた。
道理で明るく感じるはずだと、夜でも自分の影まで確認できる現状を、改めて理解する。
「こんな夜は……やめよう。悲しくなる」
下手に考え込むと、それだけで落ち込みそうになるので、気分を変えるように一度大きく伸びをした。
潮風に揺られ元気なく垂れていたアホ毛も、少しだけ勢いを取り戻す。
■アル > こうして迷うくらいなら、遺跡捜索の資金をちゃんと稼ごうと歩みを再開する。
ゴミを拾って、少しでも浜辺が綺麗になるなら、悪い気分はしない。
「まっ……これが今夜の俺の仕事。仕事に貴賎なしっていうしな」
歩きながら、発見したゴミをハサミで拾って籠に入れる。
こんな単純作業でも、獲物を暗闇で発見し、砂地は足場を鍛えるのに最適。集中力も鍛えられそうだと思考を切り替えた。
そう思うことで、事実かどうかは別として気も軽くなる。
アホ毛を動かしながら砂地に足跡を残し、捜索の資金稼ぎを続けていった。
ご案内:「セレネルの海」からアルさんが去りました。