2021/10/09 のログ
ご案内:「◆ゾス村(イベント開催中)」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 季節が移り、村は収穫された農作物や秋の実りで潤っている、筈の頃。
相変わらずアスピダ攻略の拠点とされている村は夜が更けてもあちらこちらの篝火が消えることは無く、当たり前のように村人よりも兵士の影が多く行き交う。

収穫の時期は敵方も弁えている。食糧庫は再三襲撃に遭っており、今宵も警備が厚く配置されていた。周囲のぐるりを篝火が囲っており、恐らく魔法で結界か気配探知か何かが巡らされている筈だ。

「……あー…虫の声が良いわ…」

そんな物々しい気配の食糧庫から数軒離れた民家の屋根の上。煙突の影に潜むように寝そべって……実際の所は、寝そべった結果煙突の影となった所にエルフがひとり。すこし煤けてしまっているそこに布を広げて、仰向けに空を眺めている。
今宵の月は半分にすこし欠けたくらいだが、白く輝いていて月光は地上にまで降り注いでいる。雲も見当たらない中、他の瞬く星々を従えて夜空を謳歌しているようだった。

「……仕事じゃなきゃ最高だよねー…」

近くに人が居ない(はず)せいか独り言が多い。その上少し気が緩んでいる様で、虫の音を聴きながら瞼が落ちて行っている。
一応このエルフも倉庫の警備要員なのだが、予備の予備くらいの雰囲気で言い渡されたので、まあほんの少し仕方ない所もある。

―――とはいえ実際は、同じ調子で任務を与えられた者は皆してサボって何処ぞにシケ込んでいる様子なので、これでも真面目なほうだ。エルフ女もうっすらそれに気付いているが、だからと言って投げだせないのは性分らしい。ふああーっ……と欠伸を零しながらも、屋根の上で寝そべりながらの任務は続行する。

ご案内:「◆ゾス村(イベント開催中)」にクレイグさんが現れました。
クレイグ > 「確かに仕事じゃなければ、いい夜だよな」

そんな声の聞こえた方向にいるのは、大きな盾?を背負い、腰にメイス、背中に大きなマントを付けた中年の戦士。
どうやら、比較的真面目な方の一人なのか、あぶれたのかはわからないが、夜の警備の依頼を受けている人間らしい。

「この時期は襲撃も多くて、嫌になるな…あぁ、と」

声を掛けてから気づいたのか言いよどみ。

「名前聞いた事なかったな、見かけてはいたんだが…俺はクレイグ、雇われって意味じゃ傭兵でも冒険者でもいいんだが、今回は短期の冒険者で雇われてる」

そういって、自分の名前を述べる。

ジギィ > 「―!っぶ……」

男が声を掛けた方から、音のない慌てた気配がひとしきり。
それから一呼吸間を置いて、屋根の上、煙突の背後からそおーと女エルフが男の方へと顔を覗かせる。肌の色が肌の色だから、薄闇で若草色の瞳だけが浮かんでいる様にも見えるかも知れない。

「やーん、聞こえてた?
 そおねー本当なら収穫祭とかそこら中である季節なのにねー…ン?
 ああ、わたしは『ジギィ』って呼んでちょーだい。よろしく、クレイグ」

特に身分は言わなかった。見かけていた、ということは、まあまあ似たような雇われの立場だと解ってはいるだろう。女エルフは名乗ってからひらっと手を振って、『お互い貧乏くじ引いたよね』の苦笑いをウインク付きで送って見せる。

クレイグ > 「あいよ、よろしくなジギィ…んで」

辺りを見ながら、梯子無しで登ったのか、身軽なんだなと思いつつ。
エルフであることを確認すればそれにも納得して。

「上からは何か…いや、見えてたらそんな呑気じゃないか」

確認しようとして、何かに気づいていればあんな呑気な言葉は出てこない事に気づく。
周りをもう一度見渡して、耳を澄ます、とりあえずしけこんだ連中も近くにはいなさそうだし。
兵士や騎士もいなさそうだ。

「ジギィ、酒は行ける方か?」

そして、そんな言葉が男からかかる。

ジギィ > 実際登攀でよじ登っていたりするが、住人には知られないようにコッソリ上ったので問題はない筈で
あるとすればこのまま会話を続けることだろうか。

「ンー大丈夫だと思うよ。この明るさですくなくとも空から、なんてダイナミックな手は使えなさそうだから、考えられるのは潜って行くくらいかなー」

女エルフはひそひそと声を返す。さっきの声が聞こえていたのなら男には聞こえている筈だ。
それから続いたお誘いの言葉に、瞳をぐるりと回して考える風。

「―――ワインの甘い奴なら」

応えて、にーっと笑ってから猫の如くするりと屋根から滑り降りて来る。すとん、と見眼だけの着地音をさせて地上に降りると

「あと、誘ったのはソッチだから、バレてお給料引かれたらソッチ持ちね」

それでもいいなら、と人差し指を唇に当てて笑う。月光振る中でその様子は幻の魔獣『チェシャネコ』さながら。不気味というか滑稽というか謎めくというか。

クレイグ > 「ま、潜られたらこっち的にはお手上げだからな、ただそんな音がすれば耳の良い奴が気づくだろう」

そう小声で返して。
降りてきたジギィに、腰につけていた水袋を一個放る。

「そっちが甘いのだ…匂いで気づいてないよな?」

腰には3つくらい水袋があったので、酒2個に水1個なのだろう。

「はいはい、その時は天引きされてやるよ、こんな所で美人と飲む代金なら安いだろ」

くっくと喉奥で笑いながら、近くにあった木箱に腰掛けて、もう一個の酒であろう水袋を手に取り。

「そんじゃ、今日の今の所静かな良い夜と、いい女との酒盛りに」

小声でそういって、乾杯するように水袋を掲げる

ジギィ > 男が放った水袋を危なげなくキャッチ。その口を顔に近づけてすんすん、と嗅ぐ仕草をして、またエルフ女に笑みが広がる。

「やっほー、ラッキー」

天引きも引き受けるという景気のいい話に、また音もなくその場で小躍りしてから、踊るように男が腰掛けた木箱のほうへ。何、この程度一休みしている所を見付かったとて、隠し持っている麻薬を嗅がせれば…というのを半分冗談で脳裏に思いつつ

「それとー今後もひきつづき虫の音が綺麗な夜と、気前のいいおじさまに!」

かんぱーい、とグラスを合わせるが如く近づけてくすくすと笑って、また踊るように跳ねて木箱の隣へ腰掛ける。
女エルフは腰掛けてもすこし鼻歌交じり、肩も何やら音頭に合わせて揺らして見目が騒がしい。

「んはー、美味しい。用意が良いのねえ」

一口呷った後そう感想を述べて、ありがとう、の代わりに男へ笑顔を向ける。今度は凡そ普通の笑顔だったはずだ。