2020/05/09 のログ
ご案内:「◆ゾス村(イベント開催中)」にティクスさんが現れました。
ティクス > 「……どういう事…?」

訝しみ、眉を寄せる。
王国騎士団や傭兵等に奪還…というより、違う形での占拠をされてしまい、手を出し辛くなった村。
それでも必要物資を手に入れる為、遠目に様子を窺っていて…気が付かされたのは。
村に居たのだろうミレー族の者達が連行されていく事だ。

明らかに、王国軍の人間によって。

奴隷が足りなくなった、等という事ではないだろう。
それならバフートという絶好の場所が有る筈だから。
加えて連れて行かれる者達は、正しく老若男女。とすれば労役奴隷でも。性奴隷でもない。

今も。幾人ものミレー族を押し込んだ馬車が、慌ただしく王都の方へと出て行った。
彼等が何をやりたいのか、まるで見当が付かなくて。もう少しだけ村へと近付く事にした。
外套を被り、木々に紛れ。村の外周を――巡る。

ティクス > 一旦ぐるりと外周を巡り…改めて実感したのは。
王国側の者達も、自分達盗賊団と大差無いではないか、という事。

戒厳令だか戦時特例だかと言うのだろうが。
徒党を組んだ兵士達が、村の宿を娼館代わりに利用していたり。
我が物顔の傭兵が、売り物であろう酒瓶を、店先で幾本もかっ喰らっていたり。
盗賊団よりはマシだと考えているのだとしても。村人達の鬱々とした表情は、決して好転したとは言えない物。

目の前に不安材料が多々存在しているせいも有るのだろう。
彼等の不透明な矛先が、ミレー族へと向かうのならば。
その分自分達は助かるのかもしれないと。見て見ぬフリをする村民も多い様子、であり。

「…ま…そうだよね。誰だって同じ、人間だ…」

ならば、強い点も弱い点も。誰しも変わらない筈と。そっと息をついてから。
この分では、あまり真剣な警備が行われている訳ではないと踏んだ。

近場の木陰に、有り余る程持ち備えた装備の大半を隠し。
フード付きの外套に、ハンドボウ一丁だけを備えて、堂々と村内へ。
別に、手配書が回るような団の大物でもないのだし。
普通にしていれば、傭兵や冒険者の一人とでも思われるだろうと。

ご案内:「◆ゾス村(イベント開催中)」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 盗賊団の少女が村を散策していれば、直ぐに目に付く格好の"獲物"の姿があるだろう。
煌びやかな礼服を纏い、入れ替わり立ち替わり軍人や役人が御伺いに訪れる少年。
先程迄ミレー族を連行していた兵士達も、書類を持って少年に平身低頭しながら伺いを立て、サインを貰って立ち去っていく。

そうして、一通り訪れた者達を捌いた少年は、懐から取り出した煙草に火をつけ、紫煙を燻らせながら村の隅へと歩みを進めていく。

「……効率が悪い気がしないでも無いが、需要があるうちが華というやつか。そろそろバフートからの仕入れも考えなければならんな」

そんな独り言を零しながら、段々と人気の無い場所へ。
ぽつぽつと平屋の建物が立ち並ぶ場所へと進んでいくだろうか。

ティクス > そんな中で見出したのが。
どうやら、軍人でも傭兵でも無く。だが彼等の上に立っているのであろう、少年の姿だった。
一見すれば貴族のお坊ちゃんという事になるのだろうが。
それだけならば彼処まで。大の大人達が、誰彼問わずに頭を下げる、という事も。無いだろう。
ただそんな少年の前に居たのが、ミレー族を連れて行った兵士だった為。
何らかの事情は辿れると踏んで。彼の方へと歩みを向ける。

「…………。」

指示を仰ぐ為に来た冒険者だとでも言えば良いだろうか。
そういう心積もりで、歩いて行く少年の後を追う。
ただ。未だ距離が有る内に、外套の内側、目に見えない位置で。
ボウの掛け金を外し、バネを引き、指を掛け…その気になれば何時でも。矢を撃ち出せるようにして。

そして、支援を纏った少年の背中へと。

「…そこの、人。…貴族様?今、バフートって聞こえたけれど…」

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 不意に投げかけられた声に怪訝そうに振り返る。
纏う紫煙は舶来の甘い香り。チョコレートを煮詰めた様な匂いが、少女の鼻孔を擽るだろうか。

「…ん。……ああ、冒険者か何かの類か。ミレー族を集めるのも労力、気苦労とも絶えぬだろう。貴様らに頼らぬ入手方法を此方も考えなくてはならんからな」

少女の事を疑う様子は露見せず。僅かに肩を竦めつつ、投げかけられた言葉に答える。

「…それとも、ミレー族の扱いについて思う所がある側の者か?それなら、苦情の宛先が違うと思うがね」

と、皮肉とも冗談とも取れる言葉、高慢な口調で吐き出すだろうか。

ティクス > その紫煙も、知らない薫りだ。
きっと十把一絡げの冒険者やら盗賊やらには、到底手の届かないような品なのだろう。
…だからこそ。間違い無く、情報源に値すると。そう踏んで。

「いえ。…私、昨日入ったばかりなので。
集めろとは言われたものの、何が何だか分かりません。

……どう扱っているのかも知らないまま、思うも何も無いので。
差し支えないのでしたら、少し…お教え願えませんでしょうか。
でないと、何と言うか…うまい集め方、捕まえ方を。思い付けません」

(あまり細々とした口実を考える事なく。さっと思い付くまま口にした。
こういう時は下手に設定を盛り込みすぎると、返ってボロが出やすくなるだろうと。

振り返った少年の前に、踵を揃えるようにして真っ直ぐの立ち姿。
少しばかり視線を逸らしたままでいるのだが。…顔の傷のせいだとでも、思ってくれればそれで良い。
無論実際は、失敗した際顔を覚えられていると困るからであり。
そして、逃げに移る事態も考えているからこそ……外套内の照準は。少年の心臓へと向けられて。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 少女の言葉にふむ、と理解の色を浮かべて頷く。
その言葉にも疑惑の色を浮かべる事無く、ゆっくりと口を開いて——

「成程。であれば、知らない儘の方が良い事もある。
貴様達は依頼品であるミレー族を捉え、引き渡し、此方は相応の報酬を支払う。其処にそれ以上もそれ以下も無い。
……まあ、強いて上げれば余り疵をつけぬ様に。牝の方が好ましい、程度のものではあろうが」

魔力収集の為に王城へと運ばれるミレー族。
知らぬ者にその理由迄答えては、士気が下がる事はあっても上がる事は恐らく無いだろう。
それ故に、尋ねられた理由を適当にはぐらかしながら煙草を燻らせて——

「……しかし、随分と暑そうな装備をしているものだな。外套くらい、脱いでしまっても構わんだろうに」

知ってか知らずか。少女の姿形を観察する様に眺めた後、不思議そうに首を傾げる。
とはいえ、少女の前に立つ様は警戒している様子も無ければ、放った言葉に猜疑心が含まれている訳でも無い。
寧ろ、不自然なほどに無警戒な。そんな口振りで尋ねながらゆっくりと少女の方へ歩みを進めるだろう。

ティクス > 「そぅ…ですか。
貴族様がそう仰るのでしたら。そういう事…なのでしょう。
差し出がましい質問でした」

軽く。隻眼を伏せるような目礼を。
分かった事は殆ど無いが。健康な牝である程、価値を見出せるという事と。
…早々口外出来るような事柄ではないのだという事だけは。良く理解出来た。
そうなれば何だかんだで。最初は否定した、性的搾取目的が。俄然高い可能性となるが。
…単純にそれだけ、ではないのだろう。

今更だが。この村などの偵察を命じられていた、団内に居たミレーの少女も…戻って来ない。
彼等王国軍に捕まったと思っているが。捕虜ではなくこの一件なのかもしれないと考えて。
知らず知らず溜息をついてしまうものの。少年からは、どういう意味合いに取られるか。

「…?あ、ぁ。商売道具です、武器も、防具も。
…身に着けていなければ、逆に、困ってしまうので。私のような人間は」

少年の指摘に、思わず唇を尖らせそうになったが。辛うじて押し留めた。
よもや、女であるなら誰でも良く。今此処で脱げとでも言い出すのではないかと。
そういう発想が出て来てしまう辺りが、素。
軽く半歩を退き、いつでも歩き出せる体勢で。

「それに。この顔と言い…あまり。お見苦しい物を見せる訳にも。いきませんので」