2020/04/21 のログ
ご案内:「◆ゾス村(イベント開催中)」にナランさんが現れました。
ナラン > (――――…何だ?)

咄嗟に建物の影に隠れたのは単なる勘だった。
時刻は夜を迎えたばかり。
この小さな村は何時もなら、殆どの店や民家が灯りを落としている時間帯。

なのに。

宿屋や食堂のみならず、幾つかあるその他の店や民家までもが煌々と灯りを灯して、更に人々でざわつく気配もある。
祭りでもあるのか、とも思える、が……それでも、身を影に沈めたのは、その騒めきが明らかに、単純に朗らかなものではないと感じたからだ。

「―――…の娘を」
「―――――いいんじゃねえか?今なら――…」

薪の影に息を殺す傍を、2人連れの男が過ぎっていく。
―――一見して、村の住人とは思えない荒んだ雰囲気だ。

(…参ったな……)

闇の中でその背中を追いながら、鳶色の瞳が細められる。
森暮らしで得た獣の毛皮を、何時もの商人へと卸そうと出向いたものの…
どうやら村は、それどころではないらしい。

ナラン > 顔見知りが、居なくはない。
ごく珠に関わるだけだけれども……縁がなくはない、が

「――――……」

深く、吐息が漏れる。
恐らく彼らだけを助けた所で、この村を大々的に支配している連中が逆上するだけかもしれない……その可能性は高い。

建物の影、闇の中で鳶色の目は逡巡するように伏せられ、もう一度、灯りが灯る方を見遣って
もう一度吐息を落とした唇を引き結んで、踵を返すと
闇を伝って、村の外へと……

ご案内:「◆ゾス村(イベント開催中)」からナランさんが去りました。