2020/03/06 のログ
■タマモ > ここは王都と砦の合間にある、ゾス村と言う名の村。
その村に、少女の姿はあった。
「………うむ、本当にあれじゃ、なぜここに来たのじゃろう?」
村の一角、腕を組みながら空を見上げ、少女はそんな呟きを漏らしていた。
ゆらゆらと揺れる尻尾も、その心情を表しているかのように、あらぬ方向に向いていて。
別に、これといった特別なものがあるような村、ではない。
暇の紛れる何か、それを求める少女にとって、本当に期待の持てない場所である。
まぁ、とは言え、こうした場所にこそ、何かあるかもしれない。
………とも、言えない事も無いが、うん、微妙だ。
とりあえず、何もしない、と言うのもあれか。
と言う訳で、軽く村の中を散歩と洒落込んでいた。
■タマモ > 「しかし、あれじゃな…」
足を止め、ふむ、と何か考えるような仕草。
改めて、視線を周囲に、点々と灯る明かりへと向ける。
「温かいのか、寒いのか、はっきりせん。
まったく、日中は暖かかったと言うのに、この刻の肌寒さよ。
出来る事ならば、こんな寒さを吹き飛ばすような、面白い事でも起これば…
………いや、それはちと難しいか?
せめて、楽しめそうな連中でも、宿に泊まりに来れば、軽くちょっかいでも…
………誰か泊まりに来るとか、期待薄じゃのぅ」
思い付いた事を呟くも、どれもこれも、やはり微妙なものだった。
と、ぽむっ、と不意に手を打って。
「よし、いっそ、暴れてしまおうか」
等と、誰か聞いていたら突っ込まれそうな、そんな台詞まで吐いていた。
■タマモ > さて、冗談はさておき。
この村とて、付近の街道とかには、賊が出ると言う。
暴れる、と言うのは、実のところはそれを差していた。
宿で寛いでいた時、小耳に挟んだ話にも、それはあって。
場所も、それとなく聞こえていたので、何となく分かる。
「ふむ…小遣い稼ぎ、と言うのも良かろうか。
どうせ、悪党の稼ぎなんぞ、真っ当な事もなかろうて」
確か、方向は…うん、覚えている。
それならばと思えば、歩む足の先は、少し逸れて。
軽い運動にでも、その場所へと向かおうか。
大丈夫、さっさと終えて、戻っても、寝る余裕はあるはずだ。
そんな訳で、少女は軽く、村から出て、どこぞへ向かうのであった。
ご案内:「ゾス村」からタマモさんが去りました。