2020/01/22 のログ
ご案内:「ゾス村」にラスティアルさんが現れました。
ラスティアル > 「うぅ寒っ」

 ぼやきながらながら村の物見やぐらで手を擦り合わせているのは角持つ戦士。身を切る程の冷たい風に、真鍮色の髪がなびく。傍らに置かれた、湯気を立てるスパイス入りのホットワインを口に含んだ。

「来るか来ないか分からんモノを延々待ち構えるってのは、性に合わんなあ」

 元々、これは依頼として請け負った話では無かった。港湾都市ダイラスでの仕事を済ませ、海路で王都に戻ろうとしたのだが、色々あって船が出なくなった。
 そしてダイラスのハイブラゼールで遊んでいるほど懐に余裕は無かったので、タナール砦までのキャラバン護衛で小銭を稼ぎ、まれびとの道を辿り陸路にて王都へ戻ろうとした……ところで、ゾス村の長に声を掛けられたのだ。嫌な予感がするので5日ほど村に留まってくれ。礼はする、と。

「宿代タダってのは有難いがね……」

 ちっぽけな椅子に腰を下ろし、頼りなさそうな壁に背中を預ける。村内の集会場をかねた酒場からは男女の笑い声が聞こえていた。蒼い視線を村の外へ戻す。世風の中、吐いた息が白く染まった。

ラスティアル >  嫌な予感について村長に訊ねたが、質問の答えは返ってこなかった。不自由なく暮らせるように取り計らう。厄介事が出てきて、解決してくれれば報酬を出す、とのこと。

「ま、何となく分かる気がするが……」

 浮かれ騒ぐ村人の声を背に受け、独りごちる。大方、他所との交易が思ったより上手く行き、多くの現金収入が入ったのだろう。そして、野盗だの魔物だのの襲撃を度々受けているこの村に、計画的な貯蓄だの投資だのを考える人間は少ない。
 大体はぱっと使ってしまおうとするし、羽振りの良さも隠せないだろう。そういう、ゾス村に降って湧いた幸運を掠め取ろうとする連中が来ないか見張っていてくれ。恐らくは、こんな所なのだ。

「大変だな。一か所に腰据えるってのも」

 クロスボウを手摺に乗せ、溜息をつく。様々な意味で物騒な国なのだ。定住する苦労がしのばれる。

ご案内:「ゾス村」からラスティアルさんが去りました。