2019/12/02 のログ
■ゼロ > ゴブリンと言うものは、不思議なものである、と、少年は進みながら考える。
殲滅しても殲滅してもまた現れて徒党を組んで暴れまわる。無限に居るのではないか、と思ってしまうほどに多い、繁殖力も恐らくものすごく高いのだろう。
そして、其れなりにずるがしこいので、道具を使ったり罠を作ったりもするのである。
どれも低級なものとか、簡単なものが多いので、解除や破壊はたやすいのだが―――不思議に思うのだ、何処からそんな知識を手にするのだろうか、と。
村長に訊いた巣の場所が近づいてきたので、思考をやめて戦闘に意識をシフトしていく。
仮面のお陰で、夜の闇は少年に不利にはならず、魔力を見るので、ゴブリンシャーマンなどが居ても問題がない。
少年は、その手にナイフを手にして、慎重に進み始めるのだ。
確かに村長に聞いた場所に新しい洞穴が作られていて、其処にゴブリンが居るのが見て取れる。
一歩、一歩、近づく度に、少年の意識が鋭くとがっていくのだ。
戦闘の為の、意識へと。
■ゼロ > 「……――――。」
少年は、声にならない声を零す。
其処に感情はなく、其処に熱はなく、冷静に、平静に、ゴブリンを殺戮するという名の、作業。
少年にとって、彼等は敵ですらないのだ。
鉈のようなナイフを振り回せば、首を切られて倒れる個体。
蹴りを放てばグリーブの勢いで頭を勝ち割られる個体。
逃げようにも、少年が入り口を塞ぎ、其処に立ち尽くす故に逃げられず、特攻を仕掛けて斃されていく。
そして、ふと、思い立ったように少年は入り口の穴を岩で塞いでしまう。
密室となるゴブリンの巣。
――――数刻後に、ゴブリンの殲滅と、洞穴を埋めたことを報告に兵士が戻り、村長と共に確認をしてもらっていたという。
ご案内:「ゾス村」からゼロさんが去りました。