2019/10/18 のログ
ご案内:「ゾス村」にルチアさんが現れました。
ルチア > 幼い頃は母と共に、母が亡くなってからは母の友人たちと共に、
それなりに平和に暮らしてきた里を、意気揚々と旅立ったのは昼下がり。
身軽さを最大限に活用して、あえて街道を少し外れた獣道を辿ったが、
なんとか、日暮れを前にして人里に辿り着いた。

点在する人家と思しき影に、野宿をせずに済む、と胸を撫で下ろしたのも束の間。
未だ完全に陽は落ちていないというのに、砂埃の舞う通りに人の姿は無く、
皆が家の中に引き籠っているのか、それとも―――――

ぴく、と髪の中へ隠した猫耳を小さく揺らし、思案げに眉を寄せて。

「……ダメ、ぜんぜんわかんない……」

人の気配だとか、生活音だとか。
そういうものを察知する能力には、どうやら恵まれなかったらしい。
ふう、と溜め息を吐いて、とある木陰に足を止める。
何処かの家の扉を叩いてみるか、それとも此処で野宿するか。
どちらとも決めかねるまま、背負ってきたキャンバス地の背嚢を足許へどさりと置いた。

ルチア > 荷物と同じく、とすん、と足許へついた杖の頭部に煌めく青玉を見つめ、
暫し、逡巡するやに間を空けた。
そうこうする間にも刻一刻と赤い夕陽は山際に沈み、辺りには藍色の宵闇が落ちる。
遠く見える人家の窓辺に、ぽう、と明かりがともったが――――――

「……やっぱり、やめとこうかな」

呟いて首を振り、背嚢を肩へ掛け直す。
さくん、と杖をついて、未だ確かな足取りで村を後に。
隠れ里よりも静かな村の様子を、危険、と考える程度の警戒心は、
この小娘にもあったようで――――――。

ご案内:「ゾス村」からルチアさんが去りました。