2019/04/24 のログ
ご案内:「ゾス村」にグレヌアンギュさんが現れました。
■グレヌアンギュ > それは水気が有る限り何処にだって姿を現す。
特に今夜のような空気が湿り、少し暑いくらいの夜には音も鳴く人里にも姿を現す。
理由は単純明快、空気が湿り、暑くなる、その季節はこの生物にとって繁殖期なのだから。
あるモノは井戸より冷たい水を透明な皮膚にたっぷりと含んで這いずりだし、あるモノは動物の飲み水や食物を栽培する為のため池からすら姿を見せる。
繁殖期である。
普段の緩慢な動作は微塵もなく、湿り気を帯びた場所には何処にだって潜んで忍ぶ、獲物になりそうな生物が隙を見せるまでじっと動かず、それが隙を見せた刹那に柔肌に喰らいつく為に。
それの繁殖期や行動パターンを知る冒険者や研究者なら、この時期水場の村は稀にだが人里に下りてくる魔物の存在を知るかもしれない、若しかしたらその村を中心に金のなる木と捕獲に来るのかもしれないが、グレヌアンギュ……透明な肉を持つ海蛇に酷似したその生物はゾス村を狩場に選び、其処彼処で息を潜め、繁殖の機会を窺っている。
――幸運な事に村人程度では胎に受け止めきれぬと魔物は知っているのだろう、村人に被害が及ぶことはなく、だからこそ余計に存在に気がつかないでいる。
もし魔力にひでいた者や知性に長けた者、騎士や冒険者なる力ある者が物陰で休んだり、宿で寝ていれば……結果は誰の目にも明らかか。
■グレヌアンギュ > それらは天候を知る。
透明な肉、ぶよぶよとした表皮で湿度を感じ取り、暫くの間は行動するに十分な水気が得られるだろうと理解する。
最初のうちは活発的に行動していた群は次第に村の片隅にある古井戸へと群れ集い、井戸の其処にある濡れた土に一斉に潜り込み、暫くの間はここを中心に息を潜め獲物を探すことにする。
ぐじゅる、ぐじゅる、ぐじゅる
粘液を皮膚から分泌し、土の中へと消えるそれが呼び水となって古井戸に水が溢れるのはまた別の話ではあるが、暫くはその井戸に近寄る者は居らず、手頃な彼らの巣となるのだった。
ご案内:「ゾス村」からグレヌアンギュさんが去りました。