2019/03/24 のログ
ご案内:「ゾス村/小さな施療院」にサウラさんが現れました。
サウラ > よく晴れた昼下がり、古い知り合いである老医術師の許へ訪れていた。
診察を終えて薬の処方を待つあいだ、小さな内庭へと出ていた。

家屋の2階の石の手摺には、洗い立てのシーツがたくさん干されている。
己が居るのは端から端まで歩いても数十歩ほどしかない狭い地上のハーブ園だ。
小さな紫色の花を咲かせている野草の前に屈み込み、
その葉をそっと指先で撫でながら小さく溜息をつく。

つい先日から、天空の星の配置で己が苦手とする時期に入って仕舞ったのだ。
蠍の紅い星からの影響を強く受け過ぎて、魔力感応力とオド感知力に優れる長所が
仇となって仕舞うこの時期――即ち性欲を持て余すのだ。

人間たちは星の運行の影響を受けなくていいわね、と前に仕事仲間に零したら、
人間は年中発情してるからな!と明るく返され、妙に納得して仕舞った次第だ。
でなくば人間の繁栄と種族的な過半数を占めることはきっと無かっただろう。

サウラ > 老医術師は己の来訪もその理由にも慣れたもので、
顔を見るなり「難儀だな」と肩を竦められて仕舞った。
己も全くそう思う。だがそういう生まれだ。
皆、何かしら不自由と折り合いをつけて生きている。
何も己だけに限った話ではない。

放し飼いの鶏がコッコと鳴きながらハーブ園を横切り、家屋の中へ平然と入ってゆく。
今日ばかりはこの村も平穏である様子だ。

サウラ > 処方薬があれば、ある程度の抑制とコントロールが可能ではある。
完全克服は難しくとも、軽減された状況なら如何にか対処出来る。
躰の奥から沸き上がる疼く感覚に極力意識を向けないよう深く呼吸を心掛けながら、
家屋の中から呼ばれる声に応じて、ゆるやかに立ち上がろう。

老医師から処方薬を受け取り、代価を手渡して帰途に着こう――

ご案内:「ゾス村/小さな施療院」からサウラさんが去りました。