2018/12/28 のログ
■エルス > 「あら……」
冬毛を立たせ、丸々とふくよかな犬を見つけると、女の顔はますます柔らかくなった。
屈めば何かを察したように犬が近づき、無防備に撫でてくれと訴える。
おそらく村人に愛され、餌づけされているが故にこの態度なのだろう。
顎を撫でてから頬、そして頭を撫でてやり、わふわふと温かな息を吐く犬を暫く愛でた。
だが日が落ちた村は時折寒風が吹き、そろそろ宿の暖かな部屋が恋しくなってくる。
立ち上がると、己を見上げた犬の無垢な眼差しを見下ろし。
「今夜はどこを寝床にするつもりなの?決まっていないならおいで。宿のご主人に聞いてみてあげるわ」
こちらの言葉を理解しているように足元にじゃれつき、ダークエルフが歩き出せばついてくる。
この人懐っこさが愛される理由なのだろうと思いつつ
今夜、彼、もしくは彼女が寒い思いをしないよう寝床を確保するべく、宿に戻っていくのだった。
ご案内:「ゾス村」からエルスさんが去りました。