2018/08/25 のログ
ご案内:「ゾス村」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > のどかなゾス村の夕暮れ。丘から見下ろす村からぽつりぽつりと煙突から立ち上る煙が見え、わずかな数の街灯がうっすら中心部を照らそうかという頃。冒険者である遊牧民は村はずれの牧草地、道沿いの木の柵のそばに佇んでいた。
「今日はもう、野生の動物が畑を荒らしに来る気配は無さそう、かな」
収穫期を前に野生の狼や熊がゾス村周辺をうろついているので見張りに来てほしいと冒険者ギルドで依頼を受けて滞在しているのだった。ここ数日はそれらしき影もなく、被害も無い。暮れる夕日を見上げて、ぽつりと呟く。
「空がキレイだなー。もうすぐ秋って気配がするよ。
……ふふ。気持ちいい風……」
茜色も、夏盛りと比べたら落ち着いてきた気がする。丘に渡った涼風に瞳を細める。気分が良くなって、久しぶりに笛を吹きたくなる。腰の横笛取り出せば、ぴぃと音を確かめ。
ゆっくり、実りの森の中を散歩するのんびりとした曲を吹き始め。……周囲への警戒を、すっかり緩めてしまっていた。
■タピオカ > 小麦の穂が揺れる畑を背景に、一曲二曲と、指が覚えているままに笛を吹き鳴らす。
思い切り吹いても人家のある場所にまで届くことはないだろう。ゾス村はそれほど広くのどかだった。
夕日が落ちる頃に鳴く虫の音が一段落した頃にようやく笛を下ろす。自分のために吹く曲の気持ちよさにひとりそっと微笑む。
人に聞かせるほどのレパートリーはあるけれど、あまり人に聞かせる気はしない。自分の曲の一人目の観客は自分自身だ。いつだって。
「いったん、酒場に戻ってご飯にしよう。
今日は何食べようかなー……!」
しばらくは笛吹きであったけれど、一応はギルドからの依頼として村周辺の警戒にあたっているという体の遊牧民。
日が暮れた後も害獣が侵入するかもしれない。その前に腹ごしらえとばかりに、村のほうへと戻っていく。
気持ちよく笛を吹き鳴らした事で、その足元は軽く――。
ご案内:「ゾス村」からタピオカさんが去りました。