2017/05/11 のログ
ご案内:「ゾス村」にアイエティーダさんが現れました。
アイエティーダ > (タナール砦への奇襲を仕掛け、手痛い敗北を喫したはずの魔族の軍勢の一つ。今アイエティーダが所属している軍の一部
は、タナール砦を隔てた先にあるはずの人類勢力圏内にいた)

「二次攻撃の準備だそうだ。適当に荒らしまわるぞ」

(人のような手足を持つ、ずんぐりとした魔界の馬に乗り、部下たちに指示を出すのは獣頭の悪魔。その馬と本人の体躯のす
さまじさはまさに筋肉の小山といった異形。部下たちの姿もほとんど同じいでたち、同じ種族で構成されている。
その無骨そうな外見からは信じられないほど見事に一隊は小部隊に分かれ、方々に散っていく。

「狙いは砦1に向かう輜重隊。2に街道の偵察と橋の破壊。外れなら……分捕りだ」

(不思議な気分だ。雇い主である高位の魔族の開いたホールに吸い込まれたと思えば、気が付けば砦の先、だ。血で血を洗う
戦いがばかばかしくなるほどの秘術だが、そう便利なものでもないらしく、こうして偵察や攪乱に用いるのがせいぜいだそうだ)

アイエティーダ > (重々しい槍と胸甲姿で騎行する怪物の一団は、しずかに夜の闇を駆け抜ける。蹄ではなく五指をもつ馬はその巨躯とは裏腹
に静かに細い道をかけていく)

なだらかな丘陵を登り、まだ青い麦畑を見下ろせば、遠くに集落の明かりが見えた。大半はすでに寝静まっているだろうが。

「はずれ……か?」

警備の兵士でも駐屯していれば少しは楽しめるかもしれないが……。より刺激のある獲物を求めるかのように、一団はしばしたたずみ、しずかな夜の地平線に目を凝らす。

アイエティーダ > 「ふむ……。」

(やはり輜重隊も今は宿営中だろう。火が見えないということは……はずれか)

(合図をすれば一斉に丘を下り始める。しずかに、迅速に。すぐに村の中に侵入する。ささやかな柵を飛び越えると、村の中
央、教会を目指し、そこでバラバラに分かれる。さすがに気配に気づいたのか、あちこちの家々で人の気配が増して)

「フンッ」

(作物の貯蔵庫らしき物を見つければ、手近な樽を槍で吹き飛ばし、合図にする。まもなく部下たちが集まってくる。声を出
さず、いななき声も上げさせないのは……人の野党と間違えた村人たちが出てくるのを少し期待しているからだ)

「適当に運び出すぞ」

アイエティーダ > (背後で罵声が聞こえる。そして続く言葉はない。振り返れば、驚きとおびえを隠せない村人たちが凍り付いていた)

(その日、村は血に染まった)

ご案内:「ゾス村」からアイエティーダさんが去りました。