2016/11/13 のログ
ご案内:「ゾス村」にアンブロシアさんが現れました。
■アンブロシア >
魔物は酷く荒れていた。
目に付く植木鉢や低い木々を薙ぎ倒し、花々を踏みしめ押し潰し、ドロドロの粘液を辺りに撒き散らす……。
傍目から見ればボロボロのローブとかろうじて判る布を着込んだ成人男性にしか見えないヒトに擬態した魔物。あの日着込んでいた聖職者の衣ではなく、今宵は酷く薄汚れ朽ちかけたローブを着込み、何時ものようにフードを深く被りヒトを真似、ヒトを欺き、何時ぞや迷い込んだ村の一つに入り込んでいた。
モノを破壊すれば横を通る人間は何か汚らしいモノを見る視線を送り通り過ぎ、中にはひそひそと遠巻きに何か言葉を発しているヒトも居る。
それが余計に魔物を苛立たせ魔物の中の破壊衝動を煽り燃え上がらせる。
ただ、幸か不幸か魔物は擬態し不意打ちをすれば危険な程度で他のオークやゴブリンといった魔物に比べて脆弱である。故に今のところ被害は植木鉢やヒトの膝程度しかない低い木々と呼ぶにも少し大げさに感じるほどのモノにしか出ていない……。
――今のところは……だ。
■アンブロシア >
破壊衝動を昇華しきれず、脆弱な肉体では更なる破壊も望めず、己が矮小な事に苛立ちすら覚える。
触手が群れ集い身体を作り1個体として存在する肉体では強さを求めることはできないのも本能的に理解している。
――だから魔物は犠牲者を求め彷徨う
個として強くなれなければ、更に群れを集め脆弱な力を束ねて強く成ればいいと。
正常な時よりも重たい粘液が滴る音を響かせ、村に点在する家々を巡り、現在の状態でも襲える獲物を探して這い進む。
ずる…ずちゃ……ずちゃ……ずるずる………
あまりに異様な雰囲気はヒトである事を疑わせる擬態の意味を無にするくらいに不穏な気配。
身にまとう香りはローブの腐敗した香り以上に粘液の生臭い香りが広がり始めていて………。
■アンブロシア >
今宵は魔物にとって都合のいい状況下には無さそうだ。
魔物は様々な欲望を抱えながら村の外へと向けて這いずり始める。
ずる……ずるずる……ずちゃ……ずる……
地面には巨大な何かが這いずった後
その粘液跡は今宵も光に照らされてキラキラと輝いていた……
ご案内:「ゾス村」からアンブロシアさんが去りました。
ご案内:「ゾス村」にアンブロシアさんが現れました。
■アンブロシア >
今だゾスの村の傍で息を潜めていたボロボロの布切れを身にまといヒトに擬態している絡みあう触手達が統一の意思を持って行動する寄生タイプの魔物。
今宵も重々しい何かを引き摺り歩くような音を響かせながら、あまりに無防備な村を彷徨い歩く。
魔物が村に執着を見せるのはある日の甘美なる記憶か新たな獲物を求めてか……
どちらにせよ都市よりも警戒心の薄い農村は格好の狩場である。
故にあまり目立たぬように建物の影から影を渡るように歩き、時折民家の窓から室内を覗き込み、襲撃するのに容易そうな家を探している。
ヒトに擬態した魔物が狙うのは武装したもの、人間の男、犬のような嗅覚の鋭い獣を飼育している、それらに該当する存在が居ない、苗床にして孕ませるに丁度良いヒトの雌が居る。
有りえそうで有り得なさそうな、そんな民家か若しくは無防備にも夜の帳が下りた村を歩く女でも構わない。
結局のところ屋内でも屋外でも変わらない
苗床になる女が居れば何処だって良いし、誰だって構わないのだ。あまりに若すぎなければ……だが。
■アンブロシア >
見つからなければ見つからないで構わない。
昨晩ほど獲物を渇望するほどに餓えた感覚もなければ、甘美な思い出に浸りすぎて行動が鈍ることも無い。
ずる……ずるずる……ずる………
ヒト擬態をする事で不意をうつ事でしか獲物を捕らえられない魔物は巣食ったボロボロのローブのあちらこちらから生臭い香りを匂わせ、異様な空気を発しながら、ゾスの村を家々を巡るように徘徊を続ける。
時折美味そうな獲物を見かけては、食指の一つも伸びるのだが、そういう相手に限り誰かと一緒であり、手を出すには難しい条件をそなえている。
もう少し力があれば……魔物は強襲する事すら躊躇は無いが、矢張り弱い部類にはいる魔物には難しいようで、こそこそと諦めたように人気の無い方向に足先を向けてしまう。
夜の帳、淡く輝く月、ヌラヌラと淫靡に輝く魔物が歩いた足跡……。
注意深く観察しなければ足跡の異様さに気がつくことはなく、村人達は気にも留めないか。
■アンブロシア > この村で狩猟は暫く難しそうだ。
魔物は少なくともそう判断した。
民家の影から村の外へと這いずり歩き……
夜の闇へ深い森の奥へと消えていくのだった。
ご案内:「ゾス村」からアンブロシアさんが去りました。