2022/09/25 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にグァイ・シァさんが現れました。
■グァイ・シァ > 陽が落ちれば冷たさが忍び寄るはずの季節。
視界不良とのこととてしぶしぶ両軍が引いた、諍いが終わったばかりの丘陵には未だ燻る火があちこちに散らばって熱気を振りまき、黒い夜空に白く煙を立ち昇らせている。
その微かな焔の明かりと白い煙の合間、歩いて行く人影がある。
負傷しているでもなく、しかとした足取りのそれは赤い髪の女だ。
ほの灯りのせいで反って地面は暗闇が濃いが、そちこちには倒れ伏した人間もいるだろう。
しかし女はそれらを探すようでもなく、思案気に埋火の合間を縫うように歩いている。
意識を取り戻したのが先刻、おそらく今日の争いによって血が流れたおかげだろう、身体は万端整っているようだが…
(…どちらに付くか)
女に取っては戦場に留まれるならばどちらでも良かった。
ただ、生き延びるに越したことは無い。何度も復活を繰り返せば怪しまれ、居づらくなる。
それを鑑みると……攻撃魔法という、女にとっては慮外の法を得意とするほうを味方としたほうが良いように思える。
ざく、ざく、と踏み進む度に焦げたにおいが鼻をつき、煤が沓を染めて行く。
■グァイ・シァ > 何れにせよ、夜が明ければ戦が再開するだろう。
そうなれば折りをみて自分の目したほうへ着けばよい。
その時までのひまつぶしのように、女はくすぶる焔を縫って歩く。
焦げたにおいは女の身体にしみついて、血の香りを上塗りしていく…
ご案内:「ハテグの主戦場」からグァイ・シァさんが去りました。