2021/12/22 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にフセスラフさんが現れました。
■フセスラフ > 周囲にある、味方の死体。
敵は多く、味方の士気はボロボロの中、奮戦を続ける一人のミレー族。
両目は血走り、目の白い部分が反転して真っ黒に、瞳が真っ赤に染まっている。
最初にここに来た時、日が真上に昇っていたというのに今では沈みかけている。
そんな長い時間もの間、戦い続けていた。
味方は自分と同じ奴隷と騎士の混合部隊。
奴隷など当然、騎士の肉壁の為にしか使われず……味方の囮として使われる。
自身もまたその肉壁の一人であった。
しかし敵は本隊を襲い、囮であるこちらには大した戦力はなかった。
それでもまともな装備を持たない奴隷は一人、また一人と成すすべもなく殺されていく。
「はぁ、はぁ……グルル……!」
狼のような低いうなり声を上げて、味方の死体を食らう。
屍肉を食らい、それで空腹感を無理やり満腹にして自らの生きる糧として。
敵から奪った長槍を持ち、駆け抜ける。
本隊が襲われているのならば、それを助けに行かなければ、国に戻れない。
脱走などすれば、この首輪があるだけで身がばれてお尋ね者になるだろう。
なら……この奴隷は帰ろうとすることを選び、走る。
目の前にいた魔族の心臓を槍で貫き、右腕の発達した爪で切り裂き
大きく発達した牙と、大口をあけて首筋にかみつき、肉を嚙み千切る。
自らの身に返り血がつき、その姿は獣のそれにしか見えない。
ただ、その身を動かしているのはただ一つ、生存本能だけだ。
「はぁ、はぁ……みかたは……!どこ……、どこに……!」
■フセスラフ > 味方への合流を急ぎつつ、しかし敵にも何度も出会う。
何度目かわからない、槍が敵の心臓を貫く感覚を噛みしめながら、槍を引き抜く。
あとどれぐらい戦い続ければこの戦いは終わるのだろうか。
そんな疑問に答えてくれる存在は味方にも、敵にもいない。
だがここで引くにしても、どこに向かって行けばいいかもわからない。
鼻はすでに、屍臭で利いていない。
「ど、けぇ……!」
目の前の敵を爪で切り裂き、ただひたすら前へと走る。走る。
もしかしたら自分は敵のむしろ本陣へと走っているのかもしれない。
だがどこでもいい、あるいはそれでほかの味方がこちらに気づいて来てくれるかもしれない。
もしくは、そのまま敵の首級を取ってしまえば戦闘そのものが終わるかもしれない。
どっちでもいい、とにかく、この状況を動かす何かが欲しい。
「はぁ、はぁ……!」
片膝をついて、返り血にまみれた自身の体を見る。
こんなに血まみれになって、傷もついていた。
これだけ痛いのに、どうして自分は頑張っているのかもわからない。
……だから、分からないときはこう言い訳する。
生きるため、と。