2021/11/08 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 夜の野原に血の匂いとくすぶる煙。
時々見える明かりの列は生き残りの後始末に歩く部隊だ。

その明かりからそう遠くない場所に掘られた塹壕には、小さな人影が身を潜めていた。

「ふふ……。戦闘に負けて僕の居た傭兵部隊は散り散り。
逃げ遅れて敵地に1人きりなんて。
……面白くなってきたぞ」

傭兵として雇われ、王都側として戦うもあえなく敗北。
それが今日の昼にあった出来事の全てだった。
できれば早く味方陣地のほうへと逃れたいものの、敗残兵狩りに息巻く敵兵の姿は絶えない。
隠れながら脱出の機会を伺っているうちに夜になってしまった。

夜闇に紛れて塹壕から顔を出し、周囲の様子もわからないまま突っ走るか。
それとも、一晩隠れておくか。
どちらのほうが危険かもよくわからない。

ピンチの時ほど笑って過ごせ。
自分の一族の教えを忠実に、小さく口元に笑みを浮かべながらも途方に暮れ。
忍び寄る夜の寒さに、マントの前を重ね直し。

タピオカ > ここに居ても見つかるかも。
外に出ても見つかるかも。
そんな時はどうしよう。土埃にまみれた額を指先で拭って、結論はまもなく出てくる。

迷った時は危険なほう。

一度だけ塹壕から頭を出し、逃げ残りと戦利品を漁る気配が少なくとも近くには無い事を確かめると。
薄曇りに見えにくい星の位置をたよりに自陣へと向かい――。

ご案内:「ハテグの主戦場」からタピオカさんが去りました。