2021/10/31 のログ
■グァイ・シァ > 暫しの時の後
女はおもむろに、ゆっくりと立ち上がる。
鎧は今や身体に辛うじて引っかかっている程度、只の重りでしかないそれの留め具を外すと、どさりと小さく地面が揺れた。
後はほぼ襤褸切れ同然の同腹一枚。血まみれのその合間から、傷一つない白い肌が覗くのが、重傷負ったと見せかける仮装のようにも見える。
弱い月明りの中でも、女の翠の瞳は光を放つように朱い髪の合間から覗く。
(――――もっと)
血の香りの濃い場所へと
――――あわよくば、まだその身の内に暖かい血を通わせている者を
ひしゃげた刀と鎧を、秋枯れの草の合間に置き去りに
朱い髪の女は、夜の戦場跡をさながら幽鬼の様に漂っていく……
ご案内:「ハテグの主戦場 戦場跡」からグァイ・シァさんが去りました。