2021/09/16 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 少女は時に、こうした場にも現れる。
気紛れの時もあり、そして、何らかの目的を持った時も。
今回は、後者。
日も暮れて、点々と灯りが照らす中、ぎりぎりまで戦い続ける兵士達。
少女は、そんな戦場に現れ、あちらこちらと移動を繰り返す。
その手には、水晶玉のような何か。
それが何であるかは、分かる者は分かるだろう。
映像を保存する、魔導機具だ。
「ふむ…あれじゃな、なかなかに、満足出来るものが撮れぬ。
やはり、大した戦でなければ、そんなものじゃろうかのぅ?」
時に王国軍の、時にその相手の。
飛んで来る攻撃を、寸でで避け、少女は移動を続けていた。
回避に専念し、一切の手出しをしない。
そもそも、近接する事を許さない動きだ、もっぱら飛んで来るのは、魔法を含む、遠距離攻撃だが。
「………む?」
魔法にも、それなりに追尾能力を持つ、そんなものもある。
その時は、水晶玉を持った手と反対の手に握られた、扇子が役に立つ。
ぱぁんっ!今まさに、そんな魔法が飛来するも、横薙ぎに払った扇子が、それを弾き消した。
少女が求めるのは、強者同士の戦いの映像。
…まぁ、片方しか居なければ、己が相手をするしかないが。
とは言え、そんなに都合良く、そうした者達は見付からない。
それでも、一応は探し回るように、戦場を飛び回り続けるのだ。
■タマモ > 「………時に、強者も現れる、と聞いたが…
相も変わらず、都合の合わんものじゃ。
今回は…どうせナズナの頼み、捨て置いても…」
ここに来たのが、日もまだ高い頃だったか。
それを考えれば、もう結構な時間、この場所を飛び回っている。
いい加減に飽きてきた少女は、そんな呟きを漏らす、のだが…
『あらあら、困った主様。
駄目ですよ?そんな事では。
ちゃんとやってくると、そう言って受けてくれたじゃないですか』
不意に、少女とは違う、女性らしき声が届く。
どこかゆっくりとした口調で、しかし、どこか強烈な威圧感を与えるような、それ。
その声に、びくぅっ!と、少女の肩が跳ね、耳と尻尾をおっ立てた。
「お、おぉ…何じゃ、聞いておったとは、人が悪いのぅ…霊じゃがな。
い、いやいや、言ってみただけじゃぞ?
決して、そろそろ、どこか適当に寄って帰ろうなんぞとは…」
『………そうですか、ともあれ、そうした相手が居ないのであれば?
主様が、そのレベルの近くまで下がれば良いんです、そうでしょう?
でも、この場では、それもあれですし…
頼んだ事ももう良いので、代わりに送った場所から帰って来て下さい、では』
少女の、焦りながらの言葉に。
女性の声は、どこか冷静に、どこか楽しげに、そう続ける。
有無を言わせぬような、そんな雰囲気さえも強く感じる事だろう。
あ、これ、やばい。
少女は言葉にせず、そう頭の中に浮かべる。
そして、次の瞬間。
少女の姿は、いきなり現れた闇に覆われ、消え去ってしまうのだった。
ご案内:「ハテグの主戦場」からタマモさんが去りました。