2021/08/29 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場 王国軍陣地」にグァイ・シァさんが現れました。
■グァイ・シァ > 空は薄曇に覆われ月がごく薄く透ける夜。
王国軍陣地は夕方まで戦い続けた兵士たちが続々と帰還中で、無数の篝火の合間を様々にヒトやモノや動物が動き回っている。
鎧や武器の触れ合う音、馬の嘶きに何か重い台車を引きずる音。
帰還する人々から発せられる声はどれもが草臥れている。昨日までの長雨で戦場はぬかるんでいて、騎馬も歩兵も足を取られないようにするのに余計な神経を使っていた。
ぞろぞろと陣地の中へ入って来た群れは、それぞれの休息地たるテントのほうへと散って行く。
騎士は馬を預けて一際広いテントのほうへ
王国軍正規兵は規則正しく並んで設営されたテントの方へ
のこった傭兵たちは、空いた場所に思い思いと言った風情で設営された方へ。特に誰のもの、と決まっていない大小テントの群れは、空いていれば使って良いことになっている。
がやがやと血や泥まみれの傭兵たちがテントの群れの方へと向かう。
常に人員募集をしているだけあって、テントが足りない、などということもなければ、テント自体も傭兵たちが個人で購入するものよりは余程上等だ。
誰もが焦ることも、文句を言うでもなく
戦場へ出る前に塒と決めた場所へと向かっていく。
「―――…」
散って行く傭兵たちから、ぽつんとはぐれたような影がテントの合間で佇む。
――――この陣地から出撃する際には居なかったはずの、朱い髪の女。
喧噪のなか篝火に浮かぶテントの影を見渡して…やがて、やや暗がりになっている方のテントへと向かう。