2021/08/03 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場 辺境の森」にグァイ・シァさんが現れました。
グァイ・シァ > 戦場の喧噪も夜闇に吸い込まれ消えた頃

丘を下った場所にある森は沈黙に包まれている。
時折聞こえるのは夜行動物の立てる葉擦れの音ばかり。

―――ぐっ

ぐぐもった音。
続いてどさり、重い響き。

「―――ハ―――…ッ」

大樹の木の幹に、折り重なるような2人の人影。
やがて重い音と共に背を幹に預けた方がずるずると崩れ落ち、残った方からは長いため息のような吐息の音が漏れる。

月光さえ届かぬ場所でも、それと解る程佇む女の顔は血濡れて、夜行動物のように翠の瞳が閃く。
女は貌のそれを無表情で手の甲で拭い、同じく血濡れた小刀を払っておざなりに鞘に差し込む。

崩れ落ちた人影に一瞥することもなく、女は移動を開始する。足取りは迷いなく奇妙にも音も立てず、只鎧の擦れあう音だけが森に響く。

残党狩りとも、陣の背後を狙う輩を探しに来たとも取れる女の行動。
シェンヤンの鎧を纏った女を、出合う相手は敵と見做すか、味方と見做すか