2021/03/08 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 王国軍陣所。
現在は夜であり、主戦場からも兵は引き上げ
見張り以外はつかの間の休息をとっているところだろう。
娼館の灯りは煌々と夜闇をにじませて、声はここまで届かないものの
兵士たちが死の恐怖を慰めている。

自分はといえば…横たわる布に巻かれた死体の数々を
ひとつひとつ確認していた。
なぜ冒険者であるこの男がここにいるのか。
死体あさりではない。当然依頼だ。
ここで戦っていたとされる、ある傭兵の男の遺品探しだ。
実際には、彼の関係者から安否を確認してほしいとのことだったのだが
どうやら、昼間の戦闘で戦死したらしいのだ。
死んでいれば遺品を回収してほしいとのことだったので、こうして一つ一つ、遺体を探しているわけだ。

「ったく、滅入るな…」

死体探しってだけでも気が滅入るというのに、遺品を持ち帰った後を考えるとさらに嫌になる。
それに夜とはいえ安全とは言い切れない。
夜襲の可能性もあるのだから。こんなところに長居は無用なのだ。

ブレイド > 確か金髪、碧眼、身長は自分より頭一つ分くらい大きいらしい。
剣の柄頭に装飾品を下げていたらしい。
形状も聞き出してはいる。ここに運び込まれているなら、死体漁りどもの餌食にはなっていないだろうが…
所詮は傭兵だ。
いちいち死体の回収までしてもらっているかどうかはわからない。
まぁ、ここにいなければそういうことだろう。

昼の戦地にいって死体を探していたらきりがない。
夜が明けたらまた戦が始まるのだとしたら
そんなところでノンビリなどしてはいられないのだ。
依頼も大事だが、そこまでする必要はないだろう。
一応の安否確認は口頭ではあるものの取れたのだから、目的の半分は達成されている。
ここに遺体がなければ諦めるとしよう。

「悪くおもうなよ…?」

そう、遺体に語りかけながら布をめくる。
当然ながら女の遺体もあるわけか…。全く嫌なものを見てしまった。

「…すまねぇな」

探しているのは男だ。女の遺体にようはない。
むしろ、これ以上辱めるのも心苦しい。布をかけ直し、次の遺体へと向かう。

ブレイド > 次に足を向けたそれは…
遺体を覆う布の上から見ても、明らかに足りない部分があるのが見て取れる。
赤黒くにじむ血の跡をみれば…人相は当てにならないということがわかる。

めくってみれば予想通り…首をはねられた遺体だった。
これでは金髪か碧眼かとか、こういう人相だったとかなどは関係ない。
その上装備までなくなっていたら、流石に確認のしようがないが
幸か不幸か、首から下はほぼほぼ無傷であった。

体つきからして、男であることは間違いあるまい。
さて、問題は武器だが…
意地汚い兵士が持ち去っていたり、戦場に置き去りだったりしていないことを祈りつつ
布を取り去っていく。すると、あった。剣が。
そして、その柄頭にある装飾品…形状同じ。こいつか。

「………頭一つ分ね」

自分と同じくらいの身長になった傭兵の剣から、装飾品を外して小さな布にくるむ。
遺体管理の兵士に話は通してあるものの、まさに自分が死体漁りをしているようで気分が悪い。
ともあれ、運よく依頼を完遂することが出来た。

ブレイド > 依頼は終えたが、もう夜も更けてきている。
兵の宿舎と娼館、傭兵用の酒場や宿泊施設等はあるものの
戦闘に巻き込まれるのはゴメンだ。正直、さっさとこの場から離れたい。
死体管理の兵士に、確認が終わったことを告げれば、足早に歩き出す。
夜間行軍などあまりしたいことではないがあそこにいるよりは
街道側に出て野営をしたほうがましだろう。

帰り際、娼館前を通りすがれば、甘い香の匂いがした。
こんなところまで、慰安部隊もごくろうなことだ。
多くの兵たちはここに戻ってくることを考えながら、また戦地に向かうのだろう。
そう考えれば欲望の力というのもバカにはならないなと、やや呆れつつ
王国軍陣営から抜け出していく。

とはいえ、街道に出るまでは気が抜けないが…。
陰湿な空気の中、頼りないランタンの灯りだけを頼りに街道へと向かう。

ブレイド > 少しだけ、霧が出ているようだ。
まるで亡霊か何かに憑かれてるようで気分が悪い。
先程まで死体に触れていたのだからそのような錯覚を覚えるのも仕方がない。
化けて出るなら殺した相手のところにでてほしいものだが。

気持ち早足なりつつも、先の香の匂いがまとわりつくようで
少しばかり気持ちが落ち着かない。

戦闘の後…生死のやりとりの高揚から昂ぶることはよくある。
しかし、死に触れた際に生にすがりつきたくなるのも
生者の本能というものか。
女を買う…と言う行為は基本的にはしないのだが
自分のそういう気質を少し恨めしくおもう。
さっさと野営地を見つけて気持ちを落ち着けるとしよう。
王都までにはこの生への渇望はおさまっていることを信じて。