2020/09/28 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にアムネジアさんが現れました。
■アムネジア > もし、地を照らす月に目があって、観察する意思があれば違和を感じるかも知れない。
敵同士が睨み合う戦場の一角が、ぽっかりと空いている。
まるで何かに飲み込まれたように、そこに人の気配が無くなっている。
何処かの陣営が部隊を派遣して、そこで小競り合いがあったのは間違いない。
けれど、帰還した者は誰もいない――まるで、何かに喰われたように。
「ああ――とても良い夜だね。」
地上から見れば、その空白地帯に佇んでいるのは一人の“女”。
天上から見下ろしたのと同じく、戦場の一角である筈の其処。
人の死体も、血の一滴さえも零れていない。
そこに派遣された筈の部隊、それを迎え撃った兵士達。
確かにそこで戦闘があった――それはきっと、間違いない。
何故なら、そこかしこに剣や槍や矢が突き刺さって
砕けた鎧兜や盾の破片が散らばっているのだから。
その中央で佇む女は「良い夜だね」と、また、紅色の笑みを浮かべていた。