2020/01/05 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にデッドマンズさんが現れました。
デッドマンズ > 王国軍と魔族の戦闘はタナール砦然り、均衡状態に陥っている。
時折片方の天秤を傾ける程の強者が現れる事もあるがそれも持続はしない。

交互に勝者の蜜を味わっては敗者の砂を噛み締めるを繰り返し、悪戯に疲弊していくばかりのそれは最早戦争というのは形骸に過ぎず惰性に流されるばかりの日常に迄腐り落ちていて、そこに本来あるべき熱量というものは何処か感じられず空虚のようですらあった。

勿論、負傷者が出る。最悪、死者も出る。捕虜となれば死さえ温い辱めに遭うかもしれない。

けれど、それすらも何処か、空空しい。
流れる血も、蔓延する死も。捕虜となって辱められることすら望む雌もいれば、辱めることそのものが目的の兵士さえもいるのだから戦争の純度が落ちて濁るのは当然といえば当然か。

戦争という形式に則った娯楽とさえも言える。

であれば、そのような戦場から屍者が黄泉路を彷徨い出でてもそう驚きではあるまい。
ましてやその屍者が、生者の血肉ではなく雌の媚肉を求め、食欲ではなく性欲に駆られ蠢いているとしても。

頭に矢が突き刺さったままの屍者もいれば、胴体が半ば寸断されかけた屍者もいる。
人間だけでなく魔族、そもそも人型ですらない者もいる。
共通するのは、一度死した者達であるというだけ。
死を経て、精に憑かれて戦場を彷徨う屍者はぼこりぼこりと死肉と土塊と血の池より這い出ては徐々に数を増し、規模を拡大していく。

対処する事自体は然程難しくはないが、それでもこの戦場という死が堆積した地ではこれまでに流れた血と死の数だけこの感染し伝播する精への焦がれは絶える事なく、完全に絶やすという事は現実的ではない。

対処さえ知っていれば逃げるなりこの場を切り抜けるのは難しくないが、迂闊に挑んだり逃げ遅れて巻き込まれでもすれば男であれば屍者の軍勢の仲間入り、雌は死して尚尽きぬ欲の捌け口にされるのは目に見えている。

屍者達は理性無き呻きと緩慢な仕草で死を蔓延させながら、王国軍も魔族の軍も見境なく生ある者ならば等しく襲い掛かり戦場を穢し、詰所や娼館も問わず直に雪崩れ込んでくる事になろう。

デッドマンズ > かくして、死は増えていく。

悲鳴と嬌声もまた然り。
けれどそれすらも戦場にとっての一時的な変化に過ぎず、後日にはまた変わらぬ戦が始まっているのであろう。

ご案内:「ハテグの主戦場」からデッドマンズさんが去りました。