2019/07/17 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にジナイアさんが現れました。
■ジナイア > 薄暗い雲で覆われた戦場。
時折飛び交う魔法の電、立ち昇る焔、巻き起こる竜巻さえも天の鉛色を切り裂くことは無く、時折雨を降らし、またそれ自体から稲光を発しながら居座り続けている。
まだ薄明りが届く昼の間、霧雨に見舞われながらも続いていた戦闘も、夜陰が忍び寄れば両陣営どちらともなく引く合図。
いよいよ夜となった今、数多のテントと篝火が並ぶ帝国軍陣地は、泥だらけ、引き続く曇天に不満を募らせた兵士たちの不穏な気配で溢れ返っている。
立ち並ぶテントの内、数少ない来客用。
そのうち一つの天幕をめくりあげて、中へ滑り込む女がひとり。
天幕を下ろし、外の気配が少し薄れた所で…その熟れた唇から溜息を零した。
戦場の高揚した雰囲気は嫌いではないが、今のような、熱気のようでいて澱のようでもある気配は苦手だ…
自分が関わるものでないときは、特に。
うっすらと濡れたマントを脱ぐと、傍にある掛け金に掛ける。
「……あまり、気持ちよくはないな…」
内側の服も若干、湿っぽく感じてシャツの端をつまみ上げる。
故郷の乾いた空気の中ならばすぐに乾く程度のものだが、いま、此処では到底望めないだろう。
■ジナイア > 再びひとつ、溜息をつく代わりに
シャツのボタンを外すと、思い切りよく脱いで簡素な椅子の背に掛ける。
上半身を黒の下着ひとつにすると、肌の上から漸くまとわりつくような気配が消えて、安堵のような吐息を漏らした。
(―――とはいえ)
流石に肩に何も掛けずにいると肌寒い。
長居するつもりのない身軽な旅の身とて、着替えなど持ってきてはいない。
翠の双眸を巡らすが、ベッドの上のシーツくらいしか、他に布など見当たらない。
「………」
一瞬、顔見知りの将軍を訪ねることも考えるが
もう一度湿ったシャツを羽織って、外へ出ようという気にはならない。
ご案内:「ハテグの主戦場」にガリアさんが現れました。
■ガリア > (テントの合間を縫う様にして走る影、ひとつ
顔に深く布を当て、人相が判らぬ様にしている其の姿は
所謂斥候――今は、特に敵陣の偵察や、潜入を担う者の装いだ。
雨に濡れきった布地は、其れこそ肌へと思い切り張り付く
普通ならば其れを不快だと思うのだろうが――自分の役割上、慣れっこであり。)
「――――…………」
(其処で、ひとつ騒動が起こった。
ちょうど進行方向、少し離れた所で、何かが倒れる音がする。
視線を向ければ其の先に、恐らくは立て付けが悪かったか
或いは支えが壊れたか、倒壊したテントが一つ。)
「……嘘だろ、マジかよ。」
(脚を止め、思わず声を零したのは、其れが自分のテントだったからだ。
この気候の中、雨宿りも出来ないのか、と思わず大きく零した溜息までの一連の呟きが
もしかしたら、直ぐ隣、賓客様テントの中に居る相手にも、聞こえるだろう。
ついでに、其の声が少なくとも此処最近では聞き覚えが無いだろう事も。
何せ―――ずっと、単独行動であったが故に)。
■ジナイア > 今日一晩くらいは、肌の上にシーツひとつとて問題ないだろう。
幸い、今晩はこれ以上することもない。
すこし、苦笑めいたものを浮かべて卓上のランプを手に取る。
明かりをごく、小さくすると静かに戻して。
――と、外からの異音と、数人の叫び声。
どうやら、テントの一つが倒れたらしい。
寝床へ向かおうとしていた視線を天幕のほうへ。
人並に好奇心はある。
天幕をうっすらと開けると―――ごく傍で立ちすくむ斥候らしき姿の男と…漏れ聞こえた呟き。
思わずく、と笑いが漏れる。
「―――キミ。」
佇む彼に声を掛けたのは、弾みとしか言いようがない。
「大変みたいだな。
良ければ、このテントを間貸ししようか?
…もしキミの残った荷物の中に乾いた衣服があって、一晩貸してもらえるなら」
少し低めの女の声は、雨音やざわめきに消されることなく彼の耳に届くだろう。
振り返れば、少し上げられた天幕から覗く、緑の双眸も見付けられる筈だ―――
■ガリア > (他に兵も居るし、当然ながら己に割り当てられた上で
いちいち予備を用意してある、何て手際の良い事は無いだろう。
テント一つ立てる位なら、まぁ、一人でも出来なくはない、が。
――真っ先に近寄って行った兵の一人が、折れた骨組みを持ち上げた時点で
がっくりと肩を落として、溜息を零し。)
「――――……いっそ森ン中に戻ってやろうか…。」
(こうなってしまった以上、もう開き直るしか道は無い
幸いながら切り替えは早い方だ、ずぶ濡れでテンションも多少高い
無駄にぬれ続ける位なら、と、また宿営を離れる事を真面目に考えていた矢先
――ふと、掛けられた声。
余り聞き馴染みのない声に振り返れば、其処に在るのは
天幕から、僅かに覗いた、鮮やかな緑の双眸。
何故此方に姿を見せないのか、先ず其処に疑問を持ったものの
次に響いた交渉と、其の対価の要求を聞けば――
懲戒した自分のテントを一度眺めて、それから。)
「――――……嗚呼、成る程?
……良いや、じゃあ、言葉に甘えてそうさせて貰うぜ。
っても、俺の荷物が濡れてなけりゃ、だがよ…。」
(一旦、相手の言葉へと頷いてから、少し待つように言うだろう
其の場から離れてテントの方へ向かえば、其の跡地から引っ張り出す、自らの荷物一式。
決して多くは無いが、当然着替え等は用意して在る荷袋が
幸い濡れていない事を確かめれば。
程なくして足音が戻ってくるだろう。
ついでに――天幕から、先に荷物を掴んだ片腕だけが
中の相手に、差し出される筈だ)。
■ジナイア > 相手の勘の良い発言を聞けば、苦笑めいた笑みを熟れた唇に浮かべる。
待つように、との言葉には少し面白がるような表情で頷きを返した。
―――程なく、戻って来る足音。
天幕をまたうっすらと開ければ、差し出された荷物。
「――ありがとう。運が良いな?キミも、私も」
赤銅色の手が荷物を受け取って、うっすらと開いていた天幕は、もう少し、彼の方へと開かれる。
「待っていることもない。
キミもずぶ濡れなんだ。着替えが必要だろう?」
何も素裸というわけではない。
彼が覗き込めば、上半身だけ赤銅色の素肌をほぼ晒した、女の全容が見えるだろう。
「私は明日にでもここを去るが…キミはまた、仕事なんだろうしな」
口調はあくまで面白がる風。
翠の双眸も細められ、口元にはうっそりとした笑みが浮かんでいる。
■ガリア > 「―――運が良いってか、不幸中の幸いってかな。」
(やれやれだと、天幕の向こう側から声は響くだろう。
中に居るのが女であると、判断する要素はいくつか在った。
声質だの、出て来なかった事だの、来客だった事も、だ。
中で荷物を受け取る気配が在れば手を離す。
そして、相手が着替えるまでは外に居るつもり、だったのだが。
響いた言葉に、一寸片眉を跳ね上げてから、ゆっくりと中を覗き込み。)
「――――……あんま調子良い事言ってっと、味方に押し倒されちまうぜ?」
(――眼に映った、赤銅色の肌。
其れが女であると人目で判る身体の輪郭。
こちらへと向けられる、どこか愉快げな笑みに、僅か肩を竦めては
ゆっくりと天幕の隙間から、中へと滑り込んで行き。)
「幾らソッチが気にしないったって、こんな場所だ
傍に居るってだけで、気にしちまうくらい興奮してる奴も居るんだしよ。」
(明日帰るんなら尚更だ、と、言いながら。
入るなり早々、遠慮なしに身に着けていた衣服を脱ぎ落としてしまうだろう
背の高さだけなら、女の方が大分高いだろうが
体格や、肉付きは紛う事無く兵士の其れだと判るだろう)。
■ジナイア > 「―――私が、そう易々と、押し倒されるような女に見えるか?
あんまり困るなら、その興奮に冷水をかけてやる真似くらいの手伝いは、出来る」
くすり、笑みこぼしながら、中へ滑り込んでくる彼を見遣る。
また天幕を下ろし、振り返れば早々に衣服を脱ぎ落していく男。
その身体――自分より聊か背丈は低いが、実戦用に削ぎ落された『男』の肉付きを目の当たりにして、数度翠の双眸を瞬かせる。
見慣れていない訳ではない。
暫く、まじまじと見る機会に無かっただけだ。
「―――なあ」
それでも少し、困ったように視線を逸らし、彼の方へと受け取った荷物を差し出す。
「…キミのほうが、先に衣服を取ると良い。
私は、シャツひとつでも貸してもらえれば大丈夫だから。
――その間に、キミの寝床を何とかしよう」
荷物が受け取られるなら。
女は寝床の方へと行って、どう『分ける』かの算段を始める…
■ガリア > 「それは知らね、けど、アイツラだって雑魚じゃネェからよ。
ま、悪くは言わねぇさ、精々気をつけな。 戦場で何かあっても、お咎め無しに為る事は多いぜ?」
(戦地で、特に兵の興奮を鎮める為に娼婦や女兵士が駆り出される事は儘在る。
無論、行為自体は問題だろう、だが、現実問題起こりうる話だ。
其れが嫌なら、と、語る口調は戯言めいたものだが。
――すっかりと雨中行軍をして来た肌は、冷たくなっている。
濡れてしまっているからか、明かりに照らされた分、筋肉の隆起と陰影が
一層目立つ事になるやも知れない。)
「―――……ん?」
(掛けられた声音に、向ける視線。
放っておけば、肌は在る程度乾くだろうし、女が服を取る間くらいは待つ心算だったが
先に、と差し出されれば、僅か怪訝そうな表情向けてから、改めて荷物を受け取ろう。
中から取り出す着替え一式、必要な肌着や、上着くらいは揃っているし
必要ならば、汗を拭く為の手布も何枚か在る。
使う分を手に取ってから、寝台のほうへ向かった女の傍へ歩み寄り
シーツの上へと着替えをいくつか置いてやり。)
「――――良いから一人で使いな、俺は別に地面だって良い。」
(――告げる言葉。 まだ、肌着を着ていない裸身が一度、女の視界に写るだろうか)。
■ジナイア > 「…解った。精々、気を付けるよ」
戦場が初めてな訳ではない。
並み以上の相手でも打ち倒す自信はあるが、慢心は確かにすべきではない。
生真面目に頷きを返して、荷物を受け取る気配に目を細める。
寝床のマットでも剥がそうか、と算段をしていると、また掛けられる声と、置かれた衣服。
思わず振り返って―――また彼の身体を、瞬きを繰り返して見る。
その、紋様を。
「……それは?」
翠の視線が一通り彼の肌を這って、すいと彼の金色のそれへと注がれる。
魔術的な物だろうとは思うが、此方の魔術は自分の知っている様式と大分違う。
そもそも魔術自体詳しい訳ではない。
何かを封印するか、守りの呪いの様なものだろう…という事だけ検討を付けて、彼に問うた。
瞳の奥に、好奇心の光を浮かべて。
■ガリア > (相手が、判ったと殊勝に頷くなら、其れ以上は言わない。
実際、テントを借りているのは此方なのだし、其れは素直に在り難い。
多少なりと警戒心を持たせて置けば、後々も安心だし
それに、素直に寝台で寝るだろう、と言う算段も在った。
――あった、のだが。)
「――――うん?
――――……嗚呼、これか。 ……飾りだ、飾り。」
(其の視線が、己が体躯へと向けられて居る。
何だ、と思って見下ろし、そして、其の視線が紋様に注がれていると判れば
嗚呼、と、納得して――僅か間を置いてから、事も無げに、何の意味も無いと答えた。
とは言え、実際僅かでも知識が在る者が見れば、其れが魔術式で在る事は確かと知れる。
其れでも、女の視線が未だ己が裸身に向けられるなら、僅か小さく肩を落として。)
「―――ホントに解ってんのか…。
……押し倒したろか、マジで。」
(女の視線を、遮る様に己が視線を下から重ねて。
向ける三白眼が、じっと女の緑色を見るだろうか)
■ジナイア > 「飾り…にしては、妙に、念入りだな?」
視線を外していたのは、礼儀というのもあった。
だが
好奇心には抗い難いものがある……
遮って来る金色を、こちらもじっと見返して。
それでも、少し躊躇うように唇を震わせてから。
「…無礼でなければ、触れても構わないか?」
言いながら、剣士にしてはしなやかな指先が彼の、鎖骨の辺りへと伸びる……
止められなければ、そのまま触れて、文字をなぞるように滑って行くだろう。
押し倒す、との言葉が聞き取れたのなら、くすり、と可笑しそうに笑みこぼす。
「そう、易々とやられはしない、と言ったと思うけどな……」
相手の先からの、律儀さ加減を見て。
そんな、無茶な行動は取らないだろう、と。
■ガリア > (――好奇心に抗えない類と言うのは、少なからず居る。
其れは今まで相対して来た連中の顔を思い返せば良く判るし
実際そう言う連中が、自分の、この紋様に興味を抱くのも経験が在る。
別に、触れた程度で如何こうなる物ではない。
だから、無礼かと言われれば、別にそうとは言い難いのだが。)
「…………絶対判ってないだろ、アンタ…。」
(アレだけ忠告しているのに、と、呆れた様に告げつつ。
けれど、其の指が本当に己へと伸ばされるなら
――味方、でも在るし、賓客だと言う事も在るのだろう。
観念した様に、相手へと自由にさせては、手に掴んでいた着替えを一度、寝台に放った。)
「―――――………アッソ、後悔してもしらねーぜ。」
(物凄くぶっきらぼうな返答になったろう、が
少なくとも、相手が触れて、或いは確かめている間は、好きにさせる筈だ。
肌の質感が変化している訳では無い、が、実際に色を彫り込んでいる部位も存在する。
そうでない部位は、純粋に魔術が刻まれているのだろう。
一度で完成された物ではなく、幾度か改良を、或いは修正を加えた気配も
相手の魔術知識次第では、読み取れるかもしれない。
そして――其の魔術が、仄かに起動を――何かを、僅かにではあるが、抑えている様子も)。
■ジナイア > 「?――後悔などしない。自分で、好んでやることだからな」
彼の言の意味を捉え切れないまま。
微かな笑みさえ浮かべ、指先で彼の紋様をなぞり始める。
なぞる先で幾度か様式が変わり、複雑に入り組んだ構造を造り出している。
到底、趣味の―――
一部の人間には、そういう趣味を持っていることは知っているが――
範囲外、だと思う。
魔術の知識はごく浅い。
だが、仄かにだが、感じ取ることは、出来る。
指を離すと、その指を軽く握り、考え込むように自分の顎へと当てる。
「何か……守る、とか、抑える、感じがするな……
キミの、『内側』を」
紋様を見ていた翠が、すう、と細められてまた彼の瞳へ。
暫くそうしてから、ふ、とまた笑みこぼす。
「…まあ、いい。
ありがとう。済まなかった」
寝台に放り投げられた彼の着替えを取りあげ、また差し出そう。
「遠慮せず、マットレスぐらいは使ったらいい。
キミの身体は冷え過ぎのようだし…
明日の戦力に影響が出れば、私の方が小言を喰らうからな」
言うが早いか
マットレスを引っ張り出して、彼の足元、地面に放り出した。
ご案内:「ハテグの主戦場」からジナイアさんが去りました。
ご案内:「ハテグの主戦場」からガリアさんが去りました。