2019/06/12 のログ
■ジナイア > (…間違えたか…?)
小さく首を傾げ、簡易な椅子や机を眺める。
黒髪が零れ落ち、女の耳元で金の輪が揺れる。
椅子の背もたれに掛けられた布に、描かれた紋章。
間違いなく、王都の友人に頼まれた、書簡を届ける相手のものだ。
訪いを先に告げていたわけではない。
兵卒の殆どが寄り集まって、まだ意気軒昂としている。
…彼も、その一員になっているのかもしれない…
「…仕方ないな」
熟れた唇に、苦笑めいたものが漏れる。
書簡に何が書かれているか知らない。
が、この興奮に水を差すか、油を注ぐのかどちらかと言えば…前者の可能性のほうが高い気がする…
急ぐ話でもない、と言われている。
ならば探してまで届けるまでもないだろう。
「今宵は、遠慮しようか…」
そう、独り言ちる。
入口に向き直ると、覆いの布を持ち上げて。
舞い散る雨粒に翠の双眸を細めると、熱気渦巻く、冷たい夜の中へ……
ご案内:「ハテグの主戦場 王国軍陣営」からジナイアさんが去りました。