2019/05/02 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にシャーロットさんが現れました。
シャーロット > 戦場。
そこは流れ者が食い繋ぐために存在している、巨大な闘技場のようなものだと、感じることがある。
傭兵という名の剣闘士奴隷が、自らの血をわずかな銀貨に変える場所なのだ、と。

「今回は一段と厳しそうねー」

戦場を一望できる高台に立ち、女戦士はその戦況を見守っていた。
傭兵なのだから、基本的に勝つ法にのっかるのが一番安全に稼げるのだが、どうも今回は外れを引いたらしかった。

シャーロット > 眼下では結構強そうな男性剣士が、遠間から矢を射かけられ、腕と足を射抜かれて落馬し、首を求めて群がる敵兵により引き裂かれている。
きっと一対一の戦いであれば、彼は負けなかっただろう。
戦場で怖いのは多対一になることと、飛び道具だった。
一昔前までは「卑怯」ということで、飛び道具はあまり用いられなかったと聞く。激突前の初撃に使用した後は、皆剣や槍に持ち替えて突撃していたと。
しかし、時代は変わり、戦争の様式は変化して、今や効率よく敵を殺傷するための手段として、当たり前に使用されていた。
飛び道具は、戦場で最も死につながる恐ろしい兵器となっていた。

そんな中、女性兵士であることは、一つ利点がある。
それは「女相手に飛び道具を使うのはさすがにダサい」という不文律が存在し、矢を射かけられることが殆どない。
ビキニアーマーは、ある意味で「こっちは撃たないでね」といったメッセージを発する役割を担っていた。

シャーロット > 戦況は圧倒的に不利。
今回はこのまま身を伏せてやり過ごそう、と決意する。
早めに砦まで撤退してもいいが、この分だと砦までもが落とされそうな情勢だった。となれば、砦に籠ることは自分を逃げ場のない檻に閉じ込めることと同じになる。
それならば、多少の危険を冒してでも、この場で身を伏せ、敵軍全体をやり過ごすのが一番よい。
仮に見つかったとしても、死んだふりをする事で誤魔化せるかもしれない。
偶然居合わせた冒険者を装うでもいいし。
敵軍側に参加している傭兵だと嘯いてもいい。

シャーロット > この参加陣営を嘯いて、優勢側に乗り換える「鞍替え」は、一見して無謀な行動に思えるが、傭兵の中では常道でもあった。
それ故に戦場終盤になると劣勢側が突然急速に力を落とし、優勢側の兵力が増大して、予想よりも早く終局となる事がある。

ただし、鞍替えするには条件があって、それはその戦局までに、ほとんどまったく活躍せず、敵兵に顔を覚えられていない場合に限っていた。
今回は、3日間の戦闘に参加して2人の敵兵を生け捕り、捕虜獲得報酬を受け取っていて、鞍替えが成功するかどうかビミョーなライン上にいた。

シャーロット > 高台の茂みに身を伏せながら、基本路線を死んだふり作戦に設定し、天に祈る。
運はそこそこ強く、生存能力も高い女戦士は、なんとか無事に生還を果たすことになった。

らっきー。

予想通り砦は1日で陥落して、多くの傭兵が捕虜となって自身の身代金を支払う羽目になり、身代金を支払えない傭兵は、奴隷として売られ、敵兵を多く倒し、恨みを買っていた傭兵は嬲り殺されたと聞く──。

ご案内:「ハテグの主戦場」からシャーロットさんが去りました。