2019/03/20 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 「星がきれい……」

攻めては退き。前線の位置が変わらない事で有名な戦場への兵力維持のために冒険者ギルドを通じて派遣された遊牧民は、満天の星を見上げて瞳を細めた。

「……なんて、現実逃避してる場合じゃなかった。あはは……」

困ったな、と笑顔浮かべる遊牧民はひとりだった。
ひとり、折れた槍や石を積んだだけの防御陣がちらほらと見える戦場は静まり返っている。
一緒に行動していた冒険者、王都正規兵による混合パーティは昼間に攻撃を受けて散り散りに。
なんとか逃げ延びたものの、自分が主戦場のどのあたりに居るのか、味方の陣がどこにあるのかわからないまま夜を迎えてしまった。

いつまた戦闘に巻き込まれるかわからない。
月明かりの薄暗がりを、とりあえず勘を信じて東へ東へ。味方が居そうな方向へ隠れながら進んで。

タピオカ > 遠くで物音が聞こえた気がして、とっさに身を低くする。
大砲の弾か何かが着弾して、大きく地面が削れたらしい窪みを這って進むと甲高い声が聞こえた。
女の子の悲鳴だ。
少し顔を上げて覗くと、3人の敵兵士。いずれの男の人も下肢は何も身に着けていなかった。
彼らが取り囲むのは、朝、一緒に自陣を出発した女性下士官である。
ここからではよく見えないけれど、何をされているかという事だけはよくわかった。彼女の白い手が片羽をもがれた蝶のように、ひらひらと舞っていた。

相手は3人。今なら気づかれていない。
不意を打てば1人は無力化できるし、行為に夢中で彼らの武器はやや離れた場所にある。
勝てる。

「少しだけ我慢してて……。すぐ……助けてあげるから……!」

彼らの煽り声と腰使いが強まると、涙声の悲鳴が響き渡る。
その声にまぎれてすぐ近くまで移動すると、月明かりにすらりと曲刀の刃が閃き――

ご案内:「ハテグの主戦場」からタピオカさんが去りました。