2019/03/15 のログ
フォーコ > 「君一人のおかげで我が隊数十人が足止めだ。
たいした囮ではないか。」

拘束されているにも関わらず動じない剛の者。
私は彼女の活躍ぶりを称え、小さいながら拍手をしてみせる。

「私は…いや、私の名など興味がないか。
今の君はここから逃げることで頭がいっぱいのようだからな。」

落ち着いているが、諦めた人間の表情ではなく。
私は彼女の顔を見下ろしては口の端を伸ばしていた。

ちなみにそれなりの強度を持っているとはいえ、怪力で暴れられでもしたら緩まる程度の物。
なによりフォーコ自身が止めを刺すことを惜しんでいる為、その気になれば容易く逃げられるだろう。

「所で、うちに来る気はないか?」

カリノナ > 「何、ただ斬ればいいだけの楽な仕事だ。私にはこういうのが向いているのでな」

一応冒険者ではあるのだが、採取作業では雑草と薬草の区別がつかず、街を歩き回る系の仕事では迷子になるしで、結果切ったはったの荒事ばかりになってしまう。
自分としても、それは望むところではあるのだが。

「逃げれるようなら試すとも。私はまだまだ斬り足りない」

瞬経の類も学んでいるから、抜け出そうと思えばおそらく可能。とはいえ、鎖を抜けてすぐ捕まっても詰まらない。会話の間に気を練っていたのだが、次の言葉に白髪の頭を軽く傾げ。

「うちに、とは?」

フォーコ > 「実に思い切りが良いな。
私も似たような者でな。気付けばこんな生業をしているわけだ。」

斬る仕事を楽と言い張る彼女に笑みを深めていた。
フリーランスのようであるが、これだけの腕があれば充分食って行けるだろう。

「試すのは良いが、今は止めた方が良いぞ。
こっちには大事な人質がいるからな。」

地面に突き刺さったままの刀の柄に手を載せる。
優れた刀でも持ち手が居ない以上、破壊するだけなら容易い。

「私はフォーコと言う一部隊の長でな。
君のように腕のある者を必要としている身だ。
それこそ、君が切り結ぶような相手は幾らでも用意してやろう。
おまけに報酬もギルドより色を付けることができる。
どうだね。」

相手が食いついてきてくれたので、私は嬉々として語る。
その結果、逃げ出すまでの時間稼ぎになったとしても構わない。
人材はそういつでも会えるわけではないのだから。

カリノナ > 「其方のほうが私よりは器用に思える。それに、これでもまだ全力ではなかろう?」

私は、最初の一刀で斬るつもりだったが、と。出会い頭のそれは現状自分が出せる最上の技だったと断言できる。それでも至らなかったというところで、相手の実力派知れよう。
人質といえば確かにそうではあるが、共に果てるなら満足とも言える。そうさせなかったのは、続く言葉によるもので。

「ふむ…別に斬れれば私は何処であろうと気にしない。それ以外にもといわれれば…まあ、気分次第と答えておこう。それでも構わぬか?」

やる事は今とあまり変わりがない。そんな認識だが。さて身元不明どころか、本名、年齢も不明。確かな事は性別のみという怪しげな人材を、正規軍が採用するか否か。
そこは上司である彼女が苦労するところだろうか。

フォーコ > 「器用と言うか、まあ色々事情があってな…。
まあ、これでも一応一組織の長をしているからな。
大将首が簡単に取れては面白くないだろう?」

実力の所は正直、良い勝負だったように思えた。
手札の数で言えば私の方が多いかも知れないがあの瞬間に限れば運が悪ければ胴が二つになっていた可能性がある。

刀に触れても動揺する様子が無く。
交渉決裂かと諦めかけていた所で彼女の口が開く。

「構わんさ。私の所は手広く事業をしていてな。お蔭で常に人手が足りない状況だ。
気が向いた時に手を貸してくれれば問題ない。」

正規軍を名乗っているが、実態は闇の部分も多い組織であり。
彼女のような非正規の戦力も多く抱えている。
こういう事は他所の師団でも当たり前のようにしていることで、むしろ今日出会えたことを喜ぶべきだろう。

カリノナ > 「それもそうだな」
ははは、と笑う。もう逃げる気も失せてしまったと練った気を解放すれば、こちらの警戒心も解けたことが察せられるだろうか。
今夜は斬り損ねたが、また機会がある。そんな予感に上機嫌に笑みを浮かべて。

「それも私もはみ出し者だからな。伴侶のように思っている。だからこそ質草には成らぬ。それが折れれば私も後を追うまでの事。幸い、こちらでも首を掻き切るくらいは出来るのでな」

こちら、と地面に突き刺された刀と対になるように差した脇差に視線を向けた。対人戦に使うには心もとない長さだが、そもこれは切腹、もしくは自死用のものなので問題はない。

「解った。なら定宿を教えよう。それと、出来れば本陣まで案内を頼みたい。
これでも一応は冒険者でな。王国の依頼で従軍した。戻る先は、同じかと思うが?」

そんなことを言いながら、細かい事は戻ってから詰める話になるだろう。ともあれ、そろそろ夜も遅い。戻れるのなら、テントの寝袋で寝たいという本音を漏らして

フォーコ > 「まあ、君のような強者相手では私もなかなか気が抜けないがな。」

相手の身体に漂っている気が弱まった所で漸く一息つくことが出来た。
口から息を吐き、あからさまに気を許しているのが見て取れるだろう。

「早まって折らずに正解だったな。
君に死なれてはわざわざ拘束した意味がない。」

相手の視線の先にある短い刀は脇差と言われる物。
サイドウエポンにも成りうるし、言葉通り自決に使うのなら十分だ。
そして、そうなった場合私が強制的に止めることなどほぼ不可能で。

「指示系統に行き違いがあったか?
まあ、面白かったから構わんが。
ともかく本陣に向かうか。
今日の所は何も出せんが、後日歓迎の品を用意させてもらおう。」

魔法で呼び出した鎖を消すと、二人で陣幕に戻るだろう。
歓迎の品は何になるか…恐らく、数多の敵が居る戦場となるはずで。

ご案内:「ハテグの主戦場」からカリノナさんが去りました。
ご案内:「ハテグの主戦場」からフォーコさんが去りました。