2019/03/04 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場 帝国軍陣地」にジナイアさんが現れました。
ジナイア > 夜半の戦場、帝国軍の陣営。
テントがそこかしこに設営されている広場は、昼間ほぼ5分の勝敗に終わった戦闘の、興奮冷めやらぬ兵士の押し殺したような騒めきに満ちている。それでも、た戦闘の喧噪から比べると嘘のような静けさだ…

テントのひとつ、比較的大き目で、高々と帝国軍旗が掲げられているものの出入り口に、灰色のマント姿の人影が姿を現す。

「…では、確かに」

出入口の布を持ち上げたまま一度振り返って、中へと念押しの言葉を投げると、一礼して外へと踏み出した。

ジナイア > 幕を下ろして一歩、テントから離れるとフードの奥からため息が漏れた。白くけぶって天に昇っていくそれを追いかける様に見上げると、夜空にはごく細く月が掛かっていて、星々は弱く瞬いている…
敵陣営があると思われる方へ視線を動かせば、何やら怪しげな光がそちらの方へとふらふら行ったり、来たり。おそらく王国軍側の偵察の何か、だろう。

翠の双眸をその光に向けたまま、先ほど渡された紙片を入れた懐に手を添える。
敵陣営の主要人物の暗殺指令―――

「………参ったな」

忍び込んでいく術はある、が…

(気乗りがしない……)

ジナイア > 視線を落とすと、逡巡する足取りを自分のテントへと向けた。

王宮勤めの友人のコネで潜り込んでいる戦場で、事情を知っている、指令を下してきた隊長からは客分として扱われている…よって一応「できれば」という前置き付きでの指令だ。応じる応じないは任されてはいるものの

(今の立場上は、上官だからな…)

思えば『客分』である自分にそんな指令を下す隊長も、本気だったかどうか定かではない。一応、真面目な顔をしてはいたが

(…およそ、事が成れば幸運だ、くらいのものだろう)

どちらにしろ、大して期待はされていない筈だ。

ジナイア > 草地を密かな足音を立てて進む。兵士の詰め所からは未だ眠れない様子のやり取りが漏れ聞こえて来る。女は篝火の焚かれたその間を、白い息を零しながら抜けていく。

早く戦闘を終わらすため、お互い犠牲を少なく済ますため、と言われた―――が、あまり事情を深く知らない自分には、果たして上首尾に言った所で『本当に』この戦闘が終わるのか…かなり疑問だ。

(逆上して、激化して長引く可能性だって十二分にあるだろう、恐らく…)

ジナイア > 成すか、成さないか。
期限は3日。

己のテントへ辿り着く。その天幕に手を掛け、振り仰いでまた細い月を見上げる。

「………さて」

熟れた唇にうっすらと笑みを浮かべると、テントの中へ滑り込むようにして、姿を消した。

ご案内:「ハテグの主戦場 帝国軍陣地」からジナイアさんが去りました。