2019/01/20 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 丘陵地帯に陣を構え、延々と戦闘を繰り返す王国軍。
その戦場を見渡す小高い丘の上で、望遠鏡を片手に戦の様子を観察する少年の姿があった。

「魔族との戦争に兵力を奪われ、大規模な侵攻も反抗も行う事も叶わず、だらだらと兵士の死体が積みあがるばかり、か。まあ、破局的な敗北が無いだけ、奮闘していると言えなくもないが…」

己の取り扱う商品の都合上、此処の戦局はそれなりに留意しなければならない。
王国の衰退を望んでいるとはいえ、派手に敗北して他国の属国や植民地なってもらっても困るのだ。

今のところ派手に負ける様子は無いが、此処にもテコ入れが必要だろうか、と土煙舞う戦場を見下ろしながら深いため息を吐き出した。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 負けが込む様であれば、魔術を行使して召喚獣の大群を送り込んでも良かったのだが、用の戦はその必要も無い様だ。
元より、英雄の様に前線で戦う等不向きの身。此方から手を出さず、戦わないで済むことに越したことはない。
無駄な争いは、無益であり不利益であるのだから。

「……いや、違うな。私は何処かで、こやつらに負けて欲しいと願っていた。そして、己の軍勢で敵を蹂躙したいとも思って居た。無益な事だと分かってはいるのにな」

どうやら、今回の小競り合いは王国運の勝利で幕を下ろしたらしい。意気揚々と凱旋する兵士達が、捕虜を引き連れて陣地に戻りゆく様が見える。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「土産が無駄にならずに済んだか。重畳重畳。態々此処迄運んで来たのに、敵に奪われるだの廃棄処分だのになっては勿体無いからな」

兵士達を慰労する為に本陣に運び入れた酒や料理の山が今頃凱旋した兵士を出迎えていることだろう。
旨い酒に旨い料理。そして捕らえた捕虜を使った狂乱の宴。
王都に引き籠る貴族達とは違い、明日の生をも知れぬ彼等が一夜の享楽に耽るのは十分に理解出来た。

だからこそ、彼等の欲望を否定するつもりも、抑制させるつもりも毛頭ない。
一つの戦を生き延びた褒美くらいは、あっても良いのだろうし。

「……それに、熟練の兵士達を支持基盤に持つのは有用だ。飲んだ酒代くらいは、名前を憶えて貰いたいものだが…」

兵士達も去り、散乱する死体と剣だけが晒される戦場跡。
それを見下ろしながら、小さく背伸びして固まった関節を解した。