2018/12/19 のログ
■アマーリエ > 「……――ン。よく調教されてるわね。つくづく、感謝だわ」
今回、伴ってきた軍馬は普段遣いしているものではない。
常に騎手が変わることを前提としたとはいえ、決して軽んじることができるものでは断じてない。
特に自軍については部隊の性質上、馬を重用する機会が何かと多い。
単純な移動手段だけでではなく、荷馬としての運用や陣地作成時の労力等、ある意味数を揃えることは竜と得るのと同じ位程に重要だ。
先日、調練を受けたと聞く軍馬を連れてきた次第だが、乗り込んだ己の意を受けて走る具合に頬を綻ばせる。
今回の戦術の都合上、ここは整っているとはいいがたい。
出来立ての荒れ地もある。遠く、竜の咆哮が響き、敵味方が使う魔法や大砲の爆裂が響く。
そういった戦場に付き纏う諸々への調練を経たものだけが、やっと使い物になる。
「……来ているわね。先陣を切るわよ! 皆、私に続きなさい! 勝利は我らが背に双翼として翻る!!」
そして、己の両翼――左右に集合する自軍の騎兵を見ながら、剣を抜く。
左手には盾。右手に剣。魔法の通信ではなく、朗々とよく通る声を響かせて馬を疾走させよう。
陣は己を先頭とした鏃の如く。構えた盾に眩く光る結界魔法を乗せ、矢玉を弾きつつ前に進む。
負けじと続く後続の騎兵が鬨の声を響かせ、手に手に構える得物を振るってゆけば、竜が作った戦場の破孔を押し広げて敵陣を瓦解させる。
日が登れば、地の所々に空いた陥没や累々たる死体が並ぶ風景が残る――。
ご案内:「ハテグの主戦場」からアマーリエさんが去りました。