2018/11/30 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にイリーナさんが現れました。
イリーナ > ――王国軍、拠点地――。

「はい、それじゃあ。 またのご贔屓を。」

冒険者らしい軽口で、一際大きな陣幕から赤い眼の女が退出をする。
請け負っていたのは軽い偵察の任務。

以前に「ちょっとした」失敗はあったものの、それ以降も重宝して使ってもらっている。
一冒険者にはありがたい定期的なお仕事を今日も無事にこなして懐は暖かい。

「今から戻るには遅すぎるし……。」

今から王都に戻るのもな……と赤い眼が、考え事で宙を泳ぐ。
一つ頷けば。

「むこうの、陣幕にでもいきますか……」

一般兵が居を構える陣幕群。
そこなら兵士目当てのお店も並ぶであろうし――。
もう一稼ぎ、できるかもしれないからだ。

「さすがに、戦場近くでキャンプなんてしたくないし」

さて、いいお客は見つかるだろうか。
うわごとのように呟きながら、急ぐ風でもなくのんびりとした足取りを。

イリーナ > 作戦拠点から、仕官向けの陣幕が並ぶ区画へと。

付き従う従者の分も合わせてか、それなりの数が並んでいる。
貴族や仕官という立場だからだろうか、喧騒はどこか遠い。
すれ違う人々の身なりも、自分とは一段も二段も違う様だ。

「ほーんと、いい服きちゃって」

そんな自分は道の端を歩くのが似合っているとばかりにゆるりとした歩調で足を進めよう。

ふと、そんな時に。

そういえば、以前お相手したあの人はまだ軍にいるのだろうか。
はじめて、と囁いたかの少年はまだ命を落としていないだろうか。


「……まずいなぁ」

変な感傷が色々と胸に渦巻くのは――と、視線が空へ。
すっかり薄暗くなった冬の空を眺めながら小さく息を吐こうか。

イリーナ > 「……なーんて、私が心配してもしょうがないか」

その日暮らしが精一杯の冒険者。
他人の心配など飯の種にもなりはしないのだ。

「さて、誰か買ってくれるといいけれどー」

少し落ち込みかけた気分を上げるようにして朗らかな声を出しながら。
赤眼の女は兵士達が居住する区画へと足を向けるのであった。
本日の、お相手を求めて――。

ご案内:「ハテグの主戦場」からイリーナさんが去りました。